昨年、今年と同時期に、小樽市を襲った台風での119番通報。昨年は被害も大きく、119番通報が殺到し、パンク状態になったが、今年は一転して、たった2件だった。台風通過時の119番通報に、大きな差が出たのは、昨年と今年の被害状況を明確に示しており、災害時の119番の通報量で、台風の被害状況が読み取れる。
昨年(2004年)9月8日、台風18号は、小樽市内で猛威を振るった。この日の119番通報は、全体で577件あったが、台風通過時には、83%以上の437件が集中した。この通報の集中によって、回線がパンクして通話不能になった。被害通報は、屋根の剥離が193件と最も多く、家屋の被害は76件、倒木が 52件、電柱や電線関係が43件、その他73件だった。何れも人命に危険はなかったが、8日の午前中の時間帯に集中した119番通報により、通話不能のパンク状態になった。市の消防本部では、このため、今回は、人命の危険がない時の119番通報を控えてほしいとの要請を行っていた。
今年(2005年)の台風14号で、9月7日(水)の朝から8日(木)の朝までの119番通報は、全体で20件あった。このうち、台風による通報は2件だけだった。1件は19:00に土のうの補充を求める通報と、もう1件は21:53、家屋の側溝の土砂取り除き作業の要請の2件。この119番の様子からも、被害は発生せず、無事通過したことがわかる。
消防本部の中村勇二警防課長は、「土のうの補充の作業は、市の建設部により行われ、土砂の取り除き作業は消防で対応した。台風時には、地域防災計画により、横の繋がりを深め、臨機応変に対応していきたい。昨年は、119番通報は通話不能になり、うまく機能しなかった。これからも足りない部分を補い、人命救助を第一に考えていきたい。今回の台風14号による、大きな被害が発生せず安心した。災害時の119番利用も、パニックにならず適正に利用してもらいたい。災害の確認の場合は33-4400か、各消防機関に連絡してほしい。火災、救急など人命に関わった時の119番通報には、すぐに対応出来るようにしたい」と、台風など災害時の緊急の対応に備えている。