小樽市の未曾有の財政危機の中、約3億円の議会経費を市議会自らが見直しを図る、「財政再建に関する小樽市議会検討会議」(座長・佐野治男副議長)の第5回目の会合が、6月9日(木)午後1:00から開かれた。
この中で、年額20万円を支給する政務調査費が取り上げられ、各会派とも、自民党が提案した総額の10%を削減し、年額18万円(月額15,000円)にすることに一致し、政務調査費の10%削減が決まった。
これにより、これまで論議してきた視察旅費・会議出席費用弁償・政務調査費を一括して、議長に対し中間答申することとなった。実際の削減効果は、数字で示すべく、議会事務局が取りまとめ、6月議会で条例を改正し、7月1日から実施することにした。
この日は、第4回会合で、議員の申合せで報酬を取り上げることになっていた。しかし、前回会合で、特別職報酬等審議会に議員報酬の額の妥当性を諮問する要件を検討していたが、「審議会に額の妥当性だけを諮問するのは難しいと判断している」(田中泰彦総務課長)との発言があり、各会派とも前回からは一転して、審議会諮問をしないことにした。
旅費・費用弁償・政務調査費などの枝葉の論議がこれまで行われたが、残された議員報酬・期末手当・議員定数の本丸の論議は、この日は回避し、「報酬と定数は密接不可分にからんでいるので、もう一度、各会派に持ち帰り、よく結論を出してほしい。今日は深い論議に入らないが、次から報酬と定数を腹を据えて論議したい。6月定例会中は、議員の皆さんも忙しいので、6月定例会終了後に、第6回目を開催したい」(佐野座長)と、次回開催日を決めなかった。
市議会第2回定例会は、6月13日(月)から29日(水)まで開催予定だが、「定例会中は忙しい」との理由で、議員報酬・期末手当・議員定数の論議を、6月定例会中には行わず、先延ばしにした。
市議会開会中は、各議員も参集し、各会派での意思統一を図る上でも絶好の機会だ。この機会をわざわざ外し、6月市議会終了後に、「腹を据えた論議をする」という姿勢では、市議会が自ら招いた財政危機の中、本当に財政再建のために襟を正すか、きわめて疑問とせざるを得ない。
小樽市議会は、特異なことに本会議・委員会の開会時間がいつも午後1:00からで、午前中の審議は行われていない。現在では、国会でも午前中から審議をしているのが当たり前の中、相変わらずの旧習を踏襲している。検討会議も本当に論議しようと思えば、定例会中の午前中の開催は可能だ。
この中で、議会経費を自ら検証する論議をする時間が、「忙しい」との理由で取らない能天気ぶりだ。
市議会が、市の財政再建に協力して、報酬引下げや定数削減を論議するのを先延ばしするのでは、時間稼ぎをしていると取られかねない。各会派からも、6月定例会中にでも論議して、結論を出すべしとの声も全く聞かれなかった。
市民は、本丸の報酬・定数論議の行方に注目しており、今後の市議会の対応に、一層の厳しい視線が投げ掛けられることになる。
なお、論議を先延ばしの中、6月15日には、議員にも、2年連続の赤字予算の中から期末手当(ボーナス)が支給される。