奥沢水源地でエゾシカに会った!<博物館メルマガ第56号>

 いよいよ冬らしい気温になってきました。なにもかも雪に覆われる季節もすぐそこまで来ているようです。

 野山の木々はすっかり葉が落ちてしまい、遠くまでよく見渡せるようになりました。寒くてあまり外に出たくない季節ですが、夏の間は判らなかった地形や珍しい樹木を観察できる絶好のチャンスになっています。天気のいい日に旭展望台やなえぼ公園を歩いてみるのも楽しいかもしれません。小樽港にも少しずつ冬鳥たちの姿が多くなってきました。博物館メールマガジン56号をお届けします。

 このメールマガジンは、博物館、博物館友の会の最新の情報、お願いを皆さんにお届けします。

 多くの方にご利用いただきたいと思っております。お知り合いにもお勧めください。

☆博物館からのお知らせ

●12月の月がわり展示

「オタモイ龍宮閣 夢の里を支えた人々」

 今年10月に市民より寄贈された「オタモイ龍宮閣」の半纏(はんてん)をはじめ、皿、写真などを展示し、当時の華やかな時代を振り返ります。

日  程 12月30日(木)まで

場  所 博物館第一展示室内

料  金 通常の入館料でご覧いただけます。

 

●もちつき体験

 今年も恒例のもちつきを行います。一臼でおよそ2.5キロのもち米をつきます。今年は米を蒸かす作業から、臼と杵でもちをつきあげ、もちを丸めるまでの作業を皆さんといっしょに行います。

 小さなお子さんでもご参加できます。ご家族でおいでください。

日  程 12月18日(土)

時  間 午前の部 10:30から 午後の部 13:30から

場  所 博物館第一展示室内

料  金 大人:100円 中学生以下:無料(博物館友の会からのご招待)

申し込み 不要

 

●冬の展示になりました

博物館第一展示室奥の復元商家が冬の装いになりました、馬ソリや竹スキーが登場し、人力車も人力ソリに変わっています。

 また、雪が積もり次第中庭に人力ソリコースを開設する予定です。今年は例年より早くオープンできるかもしれません。お楽しみに!

☆小樽の森から海から11?水源地でエゾシカに会いました

 先日、紅葉も終盤の奥沢水源地でエゾシカに出会いました。立派な角を持った大きな雄ジカで、林道のカーブを曲がったところでばったり出くわしました。こちらはとても驚きましたが、あちらは悠々と笹の茂みの中を走っていきました。

 小樽ではエゾシカはあまり馴染みのある動物ではありませんが、最近は市内でも頻繁に目撃されるようになり、足跡や食痕、糞など彼らの痕跡を身近な場所で見かけるようになってきました。先日は海寄りの高島地区で雄ジカが目撃され、新聞などで話題になっていました。南部の山地帯から高島へ移動するためには国道5号線を横断する必要があります。道路を渡るシカと自動車の接触事故も市内で増えてきているようですので、注意が必要かもしれません。

 明治時代初期までは小樽にもたくさんのエゾシカが暮らしていたようです。朝里川温泉や祝津にあった「鹿の踊り場」という地名からもシカの生息を伺い知ることができますし、古い文献や古老の談話の中にもシカに関する記述を見つけることができます。また、各時代の遺跡から出土するエゾシカの骨を使った骨角器も彼らの生息の一つの証拠と言えます。

 エゾシカは北海道の開拓が始まると、畑を荒らす有害獣として、また食料や毛皮を確保する手段として、激しく捕獲されるようになりました。それに加えて明治12(1879)年、36(1903)年に全道を襲った大雪によって多くのエゾシカが餓死し、彼らは一時絶滅寸前にまで追い込まれました。この時期を境に、小樽を含む石狩・後志地方のエゾシカはほとんど姿を消してしまったようです。また、エゾシカの激減によって家畜を襲うようになったエゾオオカミも、集中的な駆除によって間もなく絶滅に追い込まれていきました。

 いったん絶滅寸前まで減少したエゾシカでしたが、戦後、次第に数が増え始め、少しずつ各地に再分布が進みました。道東地方では1980年代後半から生息密度が非常に高くなり、農業被害、森林被害が深刻になっています。農地や道路へのエゾシカの侵入を防ぐための防鹿柵が延々と続く風景は、道央に住む私たちの目には異様に映る光景です。

 北海道の日本海側にも1980年代頃からエゾシカは再び姿を現し始めました。北海道が1984年と1992年に実施した生息情報の調査によると、小樽市では84年にはエゾシカの情報はありませんでしたが、92年の調査では情報有りと記録されています。小樽にもこのあたりの時期に再分布が起こったようです。最近は市内の目撃は増加の一途をたどっており、交通事故や農業被害といった道東と同様の問題も増えつつあるようです。

 かつて、雪深い日本海側の地域のエゾシカは、冬になると雪の少ない地方に大規模な集団をつくって移動をしていたと考えられています。現在は都市や道路網の開発によって、昔のようにエゾシカが群れで移動することは不可能になってしまいました。積雪量は年々減少しているとはいえ、小樽の山でシカはどのように冬を過ごしているのでしょうか。興味深いところです。

 海には冬鳥たちが着々と増えはじめています。博物館の前の色内埠頭でもシノリガモのかわいらしい姿をよく見かけます。

 先日石狩湾新港で起こった船の事故で流出した重油で汚れた鳥たちが、保護されているようです。銭函の海岸でも汚染されたカモメを見かけました。小樽の海にも少なからず影響が出るものと思われますので、注意深く異変を観察していきたいと考えています。(次回は58号に掲載します)

 博物館メールマガジン57号は12月11日頃配信予定です。

<問合せ>小樽市博物館(小樽市色内2-1-20 TEL.0134-33-2439、FAX.0134-22-2350)

 hakubutu-kan@city.otaru.hokkaido.jp