手宮岸壁には、かつての小樽の繁栄を物語る石炭桟橋の橋脚跡が、今も海面に2つ顔をのぞかせている。取り壊されずに海面に顔を出している2基の大きな四角い物体は、京浜地区へ大量の石炭を送った大桟橋の名残りだ。
「明治45年から使われた手宮の石炭桟橋は、高さ19メートル・海面に290メートル突き出ていたから大型空母の偉容だった」(小樽街並み今・昔 大石章 北海道新聞社刊)という。
日曜日には釣り客が多く釣り糸を垂れているが、この巨大な塊がかつて小樽を支え、6,000トンの船を4隻係船できた大橋脚の跡だと知っている人は少ない。釣りや散歩のついでにゆっくりと眺めると、かつての賑わいが聞こえてきそうだ。