煩悩を焼き払う荒行"火渡り" 龍照寺

 北海道36不動尊霊場29番礼所・真言宗龍照寺(オタモイ3・地山敬胤住職)では、6月3日(日)境内広場で、荒行のひとつ火渡り修行を執り行い、宗派問わず約120名が参拝した。
 同寺は、毎年6月の第1日曜日に火渡り修行と決め、4回目となる今年は、道内外の修験道僧侶11名を招き行われた。
hiwatari1.jpg 火渡りは、約1,300年余前に奈良県を中心に修行していた役行者(えんのぎょうじゃ)が、祈りの火に、国家安泰や心願成就を祈る山伏修行の荒行のひとつで、煩悩や不安・迷いを焼き払い、五穀豊穣や無病息災などを祈願するもの。
 9:00過ぎに、オタモイ町内をほら貝と太鼓を鳴らして練行し、町内の安全を祈念。9:45頃から、参拝者に見守られながら、紫燈護摩(さいとうごま・野外で行う大規模な護摩法要)と火渡りが行われた。
 修験道僧侶による斧で結界をする斧の儀に始まり、東西南北に矢を放つ法弓の儀・護摩壇に向かって剣で光の字を切り護摩壇を清める法剣の儀・願いを読み上げる願文を行い、10:15過ぎに祭壇から種火を採り、護摩壇に火をつけた。
 参拝者は、勢い良く燃え上がった炎めがけて護摩木を投げ込み祈念した。
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 残り火を聖地する間に、3名の僧侶による、大釜の熱湯を全身に浴びる湯加持(ゆかじ)を披露。いよいよ火渡りの準備が整い、燃えたぎる炎の上を裸足になった住職をはじめ、修験者僧侶が渡った。
 参拝者に合わせて炎を鎮め、寺院役員から順番に、願いを込めて火の上を歩いた。火の上を歩くことで、人々の煩悩を焼き払い、無病息災を祈った。
 苫小牧市から父親と参加した中川堅太君(小2)は、「テストで毎回100点がとれますようにお祈りした」と話し、父親は、「祖母が熱心に同寺に通っていたので、49日の法要が済み、家族を代表して火渡りに参加した」と話した。
hiwatari3.jpg 地山住職は、「龍神様といえば、海上安全をはじめ、諸々の事故がないよう願っていた。今は、1人1人が龍神様に手を合わせることも少なくなったが、当山は、新道岬まで33観音を祀り、龍神様の願い・皆さんの願いを、修験道の作法を持って祈祷している。
 ひとつだけ願いを伝え、必ず帰ってくる。願いごとが叶いましたら、またお参りしてもらいたい。1人1人綺麗な心を持ち、譲り合う豊かな気持ちで、共に1年間過ごしてもらいたい」と述べた。
 会場では、太鼓衆鼓響の奉納太鼓が響き、13:00からは、新道岬観音霊場の山開き法要が行われた。
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