紙芝居と戦争!博物館トピック展


 小樽市総合博物館運河館(色内2)のトピック展「紙芝居と戦争」が、4月7日(土)から始まり、紙芝居に刻まれた戦争の記憶を紐解いた。
 ここでは、子ども達を対象に絵を見せながら物語を語る紙芝居とはちょっと違った、大人も対象にしていた、戦時中の紙芝居はどんな役割を果たしていたのか、同館・山田真理子学芸員が北海道ゆかりの紙芝居から紹介する。
kamishibai1.jpg 2年ほど前に、市内の保育所から古い英語表記の紙芝居の寄贈がきっかけとなり、戦中戦後に北海道で発行・上演された紙芝居から戦争の記憶を辿った。
 北海道文学館所蔵の戦時中の紙芝居3点と、当館所蔵は4点を含む戦後の紙芝居6点を展示している。
 なぜ、英語表記の紙芝居だったのかは、「検閲との関わりが考えられる。検閲制度が終わってからも英語表記の紙芝居が発行されていたのは、敗戦後の英語ブームの影響や、進駐軍の家族に向けたものとの説もある」という。
 日本教育紙芝居協会理事の佐木秋夫氏(1906-1988)は、東京裁判で戦争に協力した国策紙芝居であったことを証言。戦後、ほかの出版物等と同様に検閲を受け、公表禁止や部分削除を命じられた作品もあった。
 佐木氏の1943(昭和18)年に出版された「紙芝居」の中の言葉を紹介。「芸術性や娯楽性を持たない宣伝紙芝居は、押しつけがましくて効果がないと断言できるだろう」「•••••演劇のように強く訴える力を持っている」「学級、班、隣組、小隊•••紙芝居はこういう単位的な文化組織において最もよくその力を発揮する」などと述べている。
kamishibai2.jpg 戦後は、民主的な内容の紙芝居を目指す団体や画家たちが熱心に活動し、街頭紙芝居や保育・教育での利用が盛んになっていった。
 会場では、宮澤賢治「貝の火」を大きく改変した紙芝居を紹介。堀尾勉による脚色で、1945(昭和20)年7月、敗戦間近に日本教育紙芝居協会が製作したもの。インパクトのある描写で、困難に立ち向かう「勇気」や「強さ」を持つと報われると説いている。
 山田学芸員は、「紙芝居は子どもが見るイメージが強いが、戦時中は、大人を対象にしていた紙芝居が沢山作られていた。戦時中の紙芝居と合わせ、国策紙芝居の製作に携わった人の言葉を展示。それを見ると、紙芝居はどんな役割を担っていたのか、製作に携わった人が紙芝居とどう向き合っていたかの一端が分かります」と話した。
 なお、ワークショップ「小樽の紙芝居について」に向け、戦時中の紙芝居を探している。持っている方は、運河館・山田(0134-22-1258)まで連絡を。
 小樽市総合博物館運河館トピック展「紙芝居と戦争」
 4月7日(土)〜6月28日(木)9:30〜17:00 開催中無休
 関連イベント ギャラリートーク 5月19日(土)11:00〜12:00
 運河館(色内2)第一展示室
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