いつ動く?アイアンホース号


1210ironhorse.jpg 小樽市総合博物館(手宮1)本館12月のミュージアムラウンジは、皆に愛されている蒸気機関車アイアンホース号の現状について、機関士等を務め車両関係に詳しい同館職員の伊藤公裕さんが語り、今後を心配する15名が会場に集まった。
 1996(平成8)年から、同館人気アトラクションのひとつ、子どもから大人まで同館を訪れる人のほとんどが利用しているアイアンホース号の乗車体験が、10月19日(木)をもって突然運行が中止となり、そのまま冬季期間の休業に入ってしまった。
 アイアンホース号は、1909(明治42)年にアメリカで作られた蒸気機関車で、現在も入念なメンテナンスを行い、動態保存されている。
ironhorse1.jpg 原因は、火室内の金属部分の疲労によるボイラーの水漏れが発生。大事な安全装置の溶け栓(溶解栓)から水が漏れ出したことで運行を中止した。何年か毎には必ず発生する修理箇所とのこと。
 そのまま放置しておくと、ネジからの漏水量が増え、ボイラーの安全性が保てなくなり、溶け栓自体も溶け出し、火室内に水が流れ込み、急激な温度変化で火室板が歪み、ボイラーが使えなくなってしまう。火室自体を交換することになり、膨大な修理が必要となる。
 溶け栓を新しい物に交換することが望ましいが、ボイラーの製造許可を得た工場でボイラー溶接士の免許がある者が行い、点検時には、構造変更検査に合格しなけらばならない。1210ironhorse1.jpg
 10年前には、札幌に業者がいたが、現在、修理できる工場は大阪だけとなる。今後見込まれる修理箇所として、ボイラー内部にある108本もの煙管も一緒に行った方が良いと判断した。
 7・8年が限界と言われる中、穴は空いていないが10年経過しており、交換時期が来ている。今回の修理は、溶け栓と今後修理が見込まれる煙管の交換で、送料等も含め1千万円が見込まれる。
 今後、アイアンホース号を動態保存させるか、重油からの水蒸気を原動力とするか、他の動力(圧縮空気・ディーゼル等)なども考え、今後の方向性は今のところ未定。
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 伊藤さんは、「蒸気が動くエネルギーになることを、これからも子ども達に見せ続けたい」と話し、アイアンホース号の勇姿が見られるのは、来年のGWには間に合わず、夏休みまでには乗車体験できるように進めたいとしている。
 ふるさと納税制度を活用して、小樽市が実施する寄附によるまちづくりを進める事業の中に「小樽市総合博物館の展示鉄道車両の保全事業」があり、協力を募っている。
 小樽ファンが支えるふるさとまちづくり
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