平成29(2017)年度第1回小樽の歴史と自然を生かしたまちづくり景観審議会(駒木定正会長)が、11月28日(火)14:00から、委員13名のうち12名が出席して、市役所(花園2)別館3階第2委員会室で開かれた。
審議会では、第22回小樽市都市景観賞の選出と市の歴史的建造物の指定や補修状況等の報告があった。
都市景観賞とは、小樽の歴史と風土に調和した都市景観を創り出している建築物などを表彰し、都市環境の向上とまちづくりへの市民の関心を高めることを目的として、1988(昭和63年)に設けられ、これまでに、都市景観賞66件・都市景観奨励賞17件を表彰している。
対象となるのは、おおむね3年以内に新築・改築等した建築物。道路又は公園その他の工作物等や、おおむね3年以内に修復して再生しその価値を高めた歴史的建造物や、地域に定着し優れた都市景観を創出しているイベント、個人、団体の活動、市内で特に都市景観の形成に貢献していると思われるもの。
22回目となる今年度は、7月1日(土)から8月31日(木)まで募集した応募物件数10件のうち、候補物件数は6件・候補対象外4件。
10月20日(金)、小樽図書館(花園2)2階視聴覚室で、都市景観賞選考委員会を開き、矢野建委員長を含む8名の選考委員が出席。候補対象物件6件とこれまで奨励賞を受賞した17件の中から、現地視察や資料から、周辺景観との調和や地域社会への配慮、都市景観に対する市民意識の向上に寄与しているか等の推薦基準に基づいて選考した。
その結果、都市景観賞候補に、小樽芸術村(株式会社ニトリ)と旧岡川薬局(福島慶介氏)の2件が、奨励賞に、NPO法人小樽民家再生プロジェクト(中野むつみ代表)が選ばれた。
◎平成29年度都市景観賞選考結果
小樽芸術村は、芸術という新たな要素を加え、歴史的建造物単体ではなく複数棟と中庭を一体的に活用することで、個々の歴史的建造物の価値を高め、新たな景観空間が創出された。
旧岡川薬局は、2011(平成23)年に同奨励賞を受賞し、その後も、出店者が入れ替わる形式のカフェやレンタルスペースでのイベント、宿泊費と労働の等価交換を行うワーキングスティ制の導入など、独自の運営方法を取り入れ、創意工夫の努力が認められた。
NPO法人小樽民家再生プロジェクトは、民家の再生に関して多角的な活動を実施し、良好な景観保全活動への積極的な取り組みが評価された。
矢島委員長は、選出した理由について、「歴史的建造物のある小樽の古い街並みを再生する動きが強く反映されていることが今回の特徴となる。各委員の意見が分散することなく、半数以上の票を集めた物件は小樽芸術村。複数の歴史的建造物によって中庭があり、街並み景観の移り変わりを見せ、運河への路も提供している。
当時の残された物件を再利用した例で、全市への波及が予見できる旧岡川薬局、小樽の古い時代の街並みを彷彿させる古民家を中心に修復や再利用、建物を動態保存していくことへ寄与し、情報発信など多面的な活動で、今後とも頑張ってほしいとNPO法人小樽民家再生プロジェクトを選出した」と語った。
一方、委員からは、「小樽芸術村に関して、観光だけではなく、近隣住民が気軽に立ち入れる場所となることも必要」とし、今後、リバウンド等を懸念する声もあった。
都市景観形成啓発事業として、「歴史的建造物めぐり」や「八景の日」「小樽まちなみ散策」の実施についても報告があった。
15:30から市長応接室で、駒木会長と矢野選考委員長(副会長)は、森井秀明市長へ選出の報告を行った。
森井市長は、「小樽市の誇れる場所・建物・取り組みで、選ばれた方々も喜ばれると思う。ニトリ芸術村周辺の雰囲気が大きく変わり、景観の変化が大きい。旧岡川薬局は、カフェやレンタルスペースを行い、使われていない時に比べると、人の流れやカフェスペースが見え雰囲気が変わった」と話した。
今後、候補物件について市長が決定を下し、表彰式の日程等は未定。
◎小樽芸術村
◎旧岡川薬局
◎NPO法人小樽民家再生プロジェクト
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