日本の知が集合!文化セミナー開催

 NPO法人絵本・児童文学研究センター(工藤左千夫理事長・色内1)が主催する第21回文化セミナーが、11月20(日)12:00から市民会館(花園5)で開催され、約1,100名が参加した。
 同セミナーは、同センターの顧問だった故河合隼雄氏の尽力によって始まった中心事業で、これまでも河合氏本人はもとより、大江健三郎、梅原猛、山田太一、岸田今日子、立花隆各氏など、日本を代表する文化人を講師に迎え、講演とシンポジウムを行ってきた。
1120seminar1.jpg 今年は、解剖学者の養老孟司、詩人の谷川俊太郎、絵本作家の西巻茅子、児童文学作家の斎藤惇夫、脳科学者の茂木健一郎の5氏が出席。
 小樽市規模の地方都市で、これだけの文化人が毎年集まってシンポジウムを開催するのは全国的にも稀有のことであり、同センター会長で、東京国立博物館館長の銭谷眞美氏は、冒頭挨拶で、「文化の東京一極集中と言われる時代の中で、まさに小樽の奇跡と言っていいような文化活動を、当センターは展開してきたと思っている」と話した。
 同セミナーでは、例年、同センターが主催する児童文学ファンタジー大賞の授賞式も併せて行っており、今年は奨励賞の受賞者2名に賞状と副賞が授与され、会場から大きな拍手が贈られた。
1120seminar2.jpg 授賞式後、谷川氏を除く4氏が、「みみをすますー人・詩・絵本ー」をテーマに、それぞれ自身の経験などを交えながら講演を行った。
 続いて、茂木氏の名コーディネートでシンポジウムが行われ、谷川氏を含む4名それぞれの持ち味を存分に発揮する発言に、満席の会場からは笑い声も上がり、約2時間半にわたる講演・シンポジウムは、終始なごやかな雰囲気に包まれ、あっという間に過ぎた。
 最後に、茂木氏の「小樽に対する印象などについては?」との問いに、養老氏からは、「小樽は好きだが来るたびに何か寂しい。札幌に人が増えている。小樽は札幌に取り込まれているのかなと思うが、島根・鳥取県の取り組みでは、人口の1%がIターンやUターンで帰ってきたら、人口が維持できる。子どものこともそうだが、隠岐島海士町の高校の例にもあるように、良い学校を作れば全国から集まってくる。小樽は歴史が古い街だし、そういうことも絡め、人が普通に暮らして、そのままその地域に居てくれることを、まちづくりの目標として取り組んだら」といった提言があった。
 絵本・児童文学研究センターHP
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