独特の泳ぎ!"向井流水法"游法公開

 絶好の海水浴日和となった8月7日(日)10:00から、夏恒例となる向井流水法の「第26回游法公開」が、東小樽海水浴場(船浜町)で開かれ、海水浴客で混雑する中、独特の泳ぎを披露した。塩谷から同会場を移して11回目となった。
mukairyu3.jpg 同会小樽支部と帯広支部の30名の男女が参加し、あまり目にすることのない水軍法などの独特の泳ぎを披露した。華麗な泳ぎに、海水浴客から大きな拍手が贈られた。上林猛副市長や生涯学習課職員、大学職員も視察に訪れた。
 向井流水法は、日本游法12流派の1つ。600年ほど昔、伊勢地方で力を蓄えた向井氏が、今川氏や武田氏の水軍を経て、徳川氏の水軍として活躍。第9代向井将監正直は、先祖から伝えられた水軍法や歴代の工夫、経験をまとめ、1810年に「向井流水法」をまとめた。精神の鍛錬を重視したと言われる。
 戦闘用の游法で、素朴で無駄のない力の消耗を抑えた泳ぎで、目標物から目を離さず素早くまわりの状況の変化に対応できる体位が重要となる。
mukairyu1.jpg 1916(大正5)年、小樽教育委員会主催の水泳講習会で、向井宗家直属師範・岩本忠次郎氏が講師となり、多くの門弟達を育てた。その門弟達が志を継承し、1991(平成3)年、小樽市の無形文化財第5号に指定されている。
 今回のプログラムは、はじめに、明治時代初期に生まれた水府流太田派の「一重伸略体」や、スピードを出す「早抜き」など14種目の泳ぎを、次に向井流水法19種目を披露した。
 刀を持って泳ぎ、水面下の脚の動きに注意しながら、相手に刀を渡す厳粛な技「太刀渡し」や、脚付膳に汁椀・飯碗・焼き物皿・煮物小丼・香物皿・箸受け・箸を乗せ、膳の脚が水面に触れないように、汁物がこぼれないように細心の注意を払いながら泳ぐ游法を見せた。
mukairyu2.jpg また、足の指の間に扇子を挟み旋回する「扇子諸返し(せんすもろがえし)」の見事な泳ぎに、観客から拍手が沸き起こっていた。
 最後は、太鼓の音に合わせ、雁が陣を組んで飛ぶように、18名が一斉に泳ぐ「抜手雁行」を披露し、1時間ほどで全プログラムを無事に終了し、大きな拍手が贈られていた。
 帯広支部支部長・林正弘師範は、「全てのプログラムを無事に泳ぎ切ったことがなにより。これをスタートだと思い、明日からも修練に励み、半年後の横浜の研修会へ向けて、高いレベルの泳ぎができるよう頑張ってもらいたい」と激励した。
 参加者は整列して、無事に終了できたことに感謝の意を込めて、海に一礼して終了した。
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