戦時中にタイムスリップ! 桜陽演劇部熱演


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 小樽桜陽高校演劇部は、2月11日(木・祝)14:00から、市民センター(色内2)マリンホールで、第65回後志支部高等学校演劇発表大会で演じた、戦時下を舞台にした「Dear…」を再演し、会場は観客で埋め尽くされた。
 同演劇部13名は、3月に卒業を控える3年生5名が残り、最後の公演に専念。部員一丸となって練習に取り組み、戦争を知らない部員達は、様々な人への調査や膨大な調べ物をして、この劇に挑んだ。
 菊地美千顧問と同校演劇部で書き上げた高文連のための脚本を、高文連での反省点を踏まえ、より良い公演にするために練り直し、演じられなかった場面を書き加え、上演時間60分の台本を100分ほどに延長した。
ohyou1.jpg 今回は、制限時間も採点もなく、練習した成果をのびのびと演じ、高校生とは思えない演技が続いた。観客はいつのまにか、戦時中にタイムスリップした錯覚に陥り、物語に入り込んだ。
 1945(昭和20年)春の小樽。同校の前身となる庁立小樽高等女学校を舞台に、戦時下の女学生の切ない思いや、国のためと軍歌に合わせて踊るバケツ体操や、「撃ちてし止まむ」(敵を撃たないでおくものかの意味)と叫びながら竹槍訓練を強いられた。このましくない行為と英語を使えず言い換えたりと、女学生の苦悩を上手く表現している。
 横浜から疎開中の自己主張の強い主人公・稲村梅役を田口舞さん(3年)が演じた。どうにもならない戦争を批判し、苦しみ、恩師を亡くした悲しみを熱演。戦争が終わってもどう生きていくか分からないと訴え、観客の中にはすすり泣く人の姿もあった。
 終演後、ステージに部員全員が並び、達成感で涙し、観客から大きな拍手が贈られた。

 演出の山岸千香さん(2年)は、「みんなに助けられ今日を迎え、成長できたと思う。このメンバーで演じることができ幸せだ」。前部長の熊倉玲奈さん(3年)は、「3年生5人が引退する。今日の経験を忘れずに、ひとりひとり頑張っていきたい。演劇部で良かった」。部長の有田くるみさん(2年)は、「舞台ができたのは、沢山の協力があったから、とても嬉しい」と感激した。
 昨年卒業したOGの桂愛永さんは、「自分が卒業して後輩だけの劇を見て、成長があり団結力も強くて嬉しかった。沢山の人が観に来ているを見て、同校の演劇部は、市民に支えられ応援してくれる人が沢山いると、身にしみて感じた」と話した。
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