アトリエ秘蔵の未公開作品!「没後一年 白江正夫展」


 市立小樽美術館(色内1)で開催中の企画展「水彩画家 白江正夫遺作展 さいはての風景」と関連して、遺族の鶴賀武さん(妹家族)が主催して、白江氏を偲ぶ「没後一年 白江正夫展」が、12月2日(水)から13日(日)までの日程で始まった。
 白江氏は、北海道を代表する水彩画家で、今月4日に一周忌を迎え、白江氏を偲ぶ作品展として、遺族と同館が協力して開かれた。
1202shiroe2.jpg アトリエに眠っている約200点の作品から、教え子で白江氏と交流の深かった大島公子さんや白水会会員、遺族らの希望により、より選りの55点を展示。遺族にとっても、初めて目にする作品も多く未発表作品ばかりで、様々な画風の作品に出会うことができる。
 企画展と比較すると、わりと小さな作品の4号から40号を集め、20代の初期作品から絶筆まで、白江氏の水彩画家としての一生を辿る作品展となっている。
 制作した年代が不明なものもあり、4号に描かれた花瓶と果物の静物画は、白江氏20代の作品と思われる。
 2014年の亡くなる年に描いた「傾く」は最後の作品となり、傾いた廃屋の向こうには、明るい日が差し、灰色の雲や厳しい冬の作品よりも明るさを感じ、ひときわ存在感を与えている。この作品は道展に出展し、白江氏自らも道展へ出向き鑑賞。来年度の絵の構想もできていたという。
 大島さんは、白江氏が「病気をして弱っているからこそ描ける絵」と話したことや、「絵の中に自分の人生が、人生の中に絵がある」と、生前の白江氏の言葉をいくつも記憶に刻んでいる。
1202shiroe1.jpg 1960年代の小樽の風景画では、第一埠頭や運河、旧日本銀行、北海ホテル周辺の民家などを題材に選び、縁取りした線に特徴がある。
 外国を旅した時に描いた作品をまとめて展示し、北国の厳しい冬の風景画とは違い、色使いも明るくはっきりとした人物も描かれている。
 大島さんは、「この作品展は先生の生きた証だと思う。作品を通じて、先生の貫いてきた生き方を感じ、次へ繋いでもらいたい。先生の挑戦していく姿を、沢山の方々に見てもらいたい」と話した。
 鶴賀さんは、「会場には、20代の作品から順を追って反時計回りに展示している。かつて、皆さんに見てもらったものとは違い、アトリエにあったほどんどが未公開作品。この日のために、教え子達が希望し選んだ作品を、ぜひご覧いただきたい」と話した。
 会場の作品からは、新しい画題や作風に挑戦した白江氏の取り組む姿勢までもが、読み取れる遺作展となっている。
 没後一年 白江正夫展 12月2日(水)〜13日(日)10:00〜17:00(最終日15:30)
 市立小樽美術館(色内1)1階ギャラリー・入場無料
 関連記事1 関連記事2
shiroelist.jpg