樽工生の設計コンペ! "小樽に建てたい建物"


 北海道小樽工業高校(最上1)建設科建築デザインコースの3年間の集大成となる、「小樽に建てたい建物」の13作品の設計コンペが、3月9日(月)から16日(月)まで、市役所(花園2)2階渡り廊下で始まり、市役所を訪れた市民らは、立ち止まって作品に見入っていた。
7th-hschoolcompe.jpg 一般社団法人北海道建築士事務所協会小樽支部(花園4・中野隆二支部長)が主催し、一般社団法人北海道建築士会小樽支部の共催を受け、これからの建築設計界を担う若い建築家を育てたいとの思いから始まり、今年で7回目を迎えた。
 今回は、建築科デザインコース13名全員が、3年間の勉強を生かし、生まれ育った小樽に高校性らしい発想から建てたい建物という課題に取り組んだ。
 プランニングから始め、所要図面はA1版1枚に、1/200〜1/500の配置図や平面図を書き、面積表と400字以内で設計要旨をまとめ掲載。約2ヶ月半かけて完成させた。
 その作品を、同協会中野支部長が審査委員長を務め、他審査員5名と2月13日に審査を行った。公正に審査するために、今年度から、評価基準を完成度・正確性・創造性・表現性の4つの部門に分け、それぞれの部門を5段階評価し、合計点で審査した。
 優秀賞には岩渕愛世さん、佳作にはザ ツェピ ソイグ ナトさん、努力賞には和田大夢さんの作品が選ばれた。2月20日(金)に表彰式が行われ、賞状と記念品が贈られた。残念ながら、最優秀賞に該当する作品はなかった。
 優秀賞の岩渕さんは、蘭島保育所を設計。特徴として、遊戯室をみんなで食事が出来るように、雨の日でも走り回れるように広く設計し、ハイサイドライトを付け、太陽光を多く取り入れた。グランドでは、子ども達が野菜を育てたり、保護者が車で来られるように駐車場を広く設けるなど利便性を高めた。
 佳作のザ ツェピ ソイグ ナトさんは、小樽市総合体育館をお年寄りも利用できるように健康体力相談室や入浴室を設置するよう設計した。
 また、努力賞の和田さんも同じく総合体育館を設計。多くの人に楽しくスポーツに親しんでもらいたいとの思いを込め、約1万人が収容できるようにした。観客とアリーナを近づけ一体感をもたせ、迫力や臨場感が味わえるように設計している。

 他には、余市町立美園小学校の新校舎や、美術館や図書館など公共施設の設計が目立った。
 同校建設科・飯島政彦科長は、「みんな一生懸命に課題に取り組んでいた。公共的な建物が多かったのが今回の特徴。こんな建物があったらと工夫し考えた。建築士会や市役所が一体となり、プロの目から作品を見てもらい、市役所の廊下に展示された。多くの人々に見てもらい、生徒のモチベーションも上がり励みになっている。ありがたい取り組みだと思う」と話した。
 中野支部長は、「小樽には、歴史的建造物や他にはない建物が立ち並び、この町並みを絶やさないでもらいたい。子どもたちへ伝えるのも、私たち建築士の使命。小樽の建造物を見直し、建築士事務所関係者も学ぶ機会として、新たな課題の『レトロな町小樽に相応しい建物』に第8回目から課題を変更する」とした。
 また、「様々な大きた建物が完成し、『レトロな町小樽に相応しい』という言葉を良く耳にするが、疑問を感じることもある。小樽の建物を掘り起こし、様々なことに気づき、実践することによって次へと伝えていく。外観に重点を置いて設計コンペを行う」と話した。
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