市内46会場で雛めぐり!「雛人形お話し会」開く


 歴史香る小樽の雛を巡る「おたる雛めぐり」が、2月21日(土)から3月8日(日)まで、市内46会場で始まり、市民からの寄贈や貴重な雛人形が、各会場で展示され、訪れた人々の目を楽しませている。
 参加会場では、様々な雛人形を展示し、趣向を凝らしたイベントが予定され、そのひとつに、22日(日)11:00と14:00に、田中酒造(色内3)本店2階の展示会場で、雛人形司の山田祐嗣氏が講師となり、「雛人形お話し会」が開かれ、市内外から10名が参加し、雛人形にまつわる逸話に耳を傾けた。
y-hinameguri.jpg 山田氏は、札幌在住の雛人形司で、母親が持っていた御殿飾りがきっかけとなり、雛人形に興味を持った。現在、約200組を所蔵し、自宅をはじめ、北海道神宮などで展示している。古い人形などは、手直しをして展示し、多くの人形ファンの目を楽しませている。
 田中酒造本店の会場は、畳が敷かれ時代を感じる趣きのある和室で、雛人形が華々しく飾られている。
 今年度の雛めぐりパンフレットの表紙を飾る、山田氏所蔵の明治時代の古今雛をはじめ、御殿飾りや親王飾り、段飾り、陶器・木彫りで作られ庶民や農民向けの地方の伝統的な雛人形、当時名の知られた作家が作った人形など、約30組を展示。雛壇を一層豪華にする様々な雛道具も注目を集めた。
 山田氏は、展示している雛人形について説明し、いつの時代にどんな作家によって作られたものか、特徴を交えて解説した。明治時代に、佐渡島から小樽へ渡ったものや、増毛の網元が京都から取り寄せた高級な人形、昭和9年に札幌三越で購入したものなど、明治から昭和にかけての段飾りが豪華に並ぶ中、弁慶や牛若丸や高砂の人形や市松人形なども所狭しと飾られ、昔は賑やかに雛壇に沢山の人形が飾られていた様子を再現した。
 京都では、親王飾り(最上段の内裏雛のみの飾り)や2〜3段飾りが多く、関西地方では、台所のミニチュアを飾り、子どもの花嫁修業と将来役に立つ意味合いを持つ。顔は面長で鼻がすっと長く、冠は赤いビーズを垂らすスタイル。視線はまっすぐな指し方が多いなど、関西と関東との違いを知ることができる。

 山田氏手作りの雛人形は、江戸時代の布や紙で比較的簡単に作られた立雛や、現存するものが少ない室町雛。享保雛は、衣装を重ね装飾性に富んだ明治時代の贅沢品。次郎左衛門雛は、公家や将軍家など裕福な家庭で飾られていたと歴史を辿りながら解説した。
 大正末期の御所人形は、大きな頭とふくよかな体格の人形で、1歳から5歳までの幼児をモデルに、腰掛け姿で釣りをしている。顔に紅の水引文様を描き、手には鶴亀の宝物を持ち、吉祥文様の衣装を着せるなど縁起物と言われている。
 参加者から、菱餅や白酒についての質問があり、山田氏は丁寧に答えていた。
 札幌在住の夫婦は、「昨日は、文学館など3会場を回り、ここは4つ目の会場で、内容の濃い雛人形の話が聞けて良かった。昔、ひなまつりはどこの家庭でもあった。ぜひ、若い人にも見てもらいたい」と話した。
 山田氏は、「パンフレットにもある人形を、ここで見ることができ、京都の人形や御所人形など古いものが多く、ぜひ来場していただきたい。会場は畳が敷かれ、その中に雛人形が飾られ、良い雰囲気も味わえる」と話した。
 山田祐嗣氏関連行事
 色紙雛をつくろう 2月26日(木)①11:00、②14:00
 定員各回10〜15名・参加費500円(材料費込)
 雛人形お話し会 2月28日(土)・3月1日(日)・7日(土)①11:30、②14:00
 参加無料
 田中酒造(色内3)本店 申込:0134-23-0309
 第12回江戸から昭和のひな人形展 2月18日(水)〜3月14日(土)10:00〜16:00
 山田氏宅(札幌市南区南沢6-2-6-25)
 おたる雛めぐりHP