半世紀ぶりの復元! 組立式能舞台完成

 組立式の能舞台がこのほど完成し、お披露目と併せ、組み立てを祝う、ひなまつりに関係する同吟・仕舞(略式の能)を演じる「旧小樽昭声会組立能舞台の紹介とひな飾りの音曲」が、2月21日(土)、北海道職業能力開発大学校(銭函3)で開催の「北海道ポリティックビジョン」に関連して開かれた。
kumitatenoubutai1.jpg 定員60名を超える市民や学生約100名が、会場の同校M棟建築学科実習室会場を埋め、半世紀ぶりに復元された能舞台で、能の上演を興味深く鑑賞した。
 北海道最古と思われる1935(昭和10)年製作の旧小樽昭声会(旧渡辺昭声会)組立能舞台は、昨年7月に発見された。同舞台再生ブロジェクト研究代表の旧岡崎家能舞台を活かす会・三ツ江匡弘会長は、同校の実践的教育「都市計画」の講義の外部講師を務める縁で、共同研究として、1月末から復元を開始していた。
 能舞台の建築構造に詳しい、市内梅ヶ枝町在住の梶原建装・木工房「匠伽藍」を主宰する梶原邦雄棟梁の協力を得て、建築科指導員・的野博訓氏とその学生も「歴史的建造物を利用したまちづくり活動への参画」として作業に参加した。
kumitatenoubutai2.jpg 最後に同舞台を組み立てたのは、1967(昭和42)年とされ、ほぼ半世紀ぶりの復元となった。良質な松材とはいえ、歪みやたわみがはげしいうえに、組立図などの資料は一切なく、部材に書かれた文字や数字を頼りに組み合わせ、苦労に苦労を重ね、19日(木)の朝に完成。本日の上演に間に合わせた。
 上演会は、14:30から、札幌昭声会(観世流)と能楽北海道おたる教室(宝生流)の10名が出演して行なわれた。能の中で最もめでたい曲のひとつ「四海波」(同吟)を札幌昭声会によって披露された。
 三ツ江氏が会長を務める旧岡崎家能舞台を生かす会の活動内容や、組立式能舞台については、発見時の部材の状況を写真で解説し、組み立ての経緯や舞台の特徴を交えて説明。
 また、能舞台横には雛人形が飾られ、能の囃しを奏でる5人の楽人を表す五人囃子についても触れた。
 その後、能楽北海道おたる教室(宝生流)7名による「鶴亀」(同吟)や「西王母」(仕舞)、札幌昭声会(観世流)3名による「羽衣」など全6曲を披露し、観客から大きな拍手が沸き起こった。

 能楽北海道おたる教室の女性は、「組立式の札幌昭声会の能舞台が見たくてきた。宝生流と観世流の仕舞、謡の違いがはっきりと分かった。舞台全部が見やすかった」と感想を語った。
 三ツ江氏は、「よくこの日を迎えられたと思う。新らたな文化財の発見となり、今後、年間を通じて能舞台を使える環境となった。解体する時に、印が分かるようにつけ直したい」と話した。同舞台は、来月の上旬くらいまで設置を予定している。
 3月1日(日)16:00から小樽市民会館で、ひなまつりに関係する演目を上演する「能とひな祭り~五人囃子の音色」を入場無料で開催する予定。
 旧岡崎家能舞台を生かす会
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