文化財を火災から守れ!総合博物館で訓練

 2015(平成27)年1月26日の「第61回文化財防火デー」に合わせ、小樽市消防本部では、「小樽市総合博物館(手宮1)の敷地内の機関車庫3号から火災発生」の想定で、火災防御訓練を行った。
0126fiertraining1.jpg 青空が広がる好天に恵まれたが、同館敷地内には1mほどの積雪があり、はしご車による放水訓練を予定していたが、通路が狭くて入ることができず、急遽中止となり、放水隊による訓練を実施した。
 訓練想定は、26日11:00頃、機関車庫3号から火災が発生し、自衛消防隊による初期消火等が行われたが、火の勢いは建物全体に拡大する恐れがあり、119番通報を受けて現場へ駆けつけた。
 参加人員は、消防署員15名・自衛消防隊(博物館職員等)12名の計27名。参加車両は、指揮車・ポンプ車・タンク車・化学車の4台。
 文化財防火デーは、昭和24年1月26日に奈良の法隆寺の金堂から出火、国宝の12壁画を焼損したのを機に、昭和30年に定められた。消防隊の人命検索、実践的な火災防御訓練を実施し、歴史的建造物等の災害対策を確立し、市民や関係者に防災意識を高め、啓発を図ることを目的としている。
0126fiertraining2.jpg 小樽市では、啓発行事の一環として毎年行なわれ、2013(平成25)年は北海製缶、2014(平成26)には公会堂で、2012年(平成24)年にも機関車庫3号で火災防御訓練を実施している。
 同施設は、1880年(明治13)年に、札幌・手宮間に開通した鉄道跡地を利用して作られ、北海道最初の鉄道が開通したのを記念して起点標を建立し、貴重な鉄道車両等が保存展示されている。
 国指定の重要文化財・機関車庫3号(レンガ造平屋建・延118.57㎡)は、1885(明治18)年に竣工し、平井晴二郎氏が設計、現存する日本最古の機関庫で旧手宮鉄道施設のひとつ。
 11:00、館内には火災を知らせるアナウンスが流れ、自衛消防隊は避難を誘導した。119番通報を受けて、指揮車・ポンプ車がサイレンを鳴らして現場に到着し、消防隊員は、迅速に放水準備を行い、機関車庫3号へ向けて3ヶ所から一斉に放水を行った。
 村木政己消防署長は、「雪のため道路幅が狭く、予定していたはしご車による放水訓練を中止し、放水隊の訓練となった。自衛消防訓練は、避難誘導と初期消火、消防職員の連携訓練は成功だった。全体としても良好だった。訓練を通じて、市民の皆さんに火災予防の啓発となればと思う」と述べた。
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