カジノ誘致の課題浮き彫り! 北海道IR道民フォーラム


otaru-IR1.jpg カジノを含む統合型リゾート(IR)を考える「北海道IR道民フォーラム」が、11月18日(火)13:30から15:40まで、小樽経済センタービル(稲穂2)7階大ホールで開かれ、各関係団体や一般市民ら100名が参加した。
 同フォーラムは、北海道が主催し、札幌・函館・苫小牧・旭川など小樽も含めて8ヶ所で開催され、約600名が参加した。小樽の開催が一番最後となった。
 道内では、釧路市・小樽市・苫小牧市・留寿都村が、IR(統合型リゾート)のカジノ誘致に名乗りを上げる中、国会では、今回の衆議院解散に伴い廃案とならざる負えない状況となった。今後の国の動向や誘致に向けての様々な意見や活動などを踏まえ、IRについての正しい認識と可能性や留意点について学び、マイナス要素として懸念される「ギャンブル依存症」の現状についての講演会となった。
 中松小樽市長は、「小樽は人口減少など多くの問題を抱え、特定複合観光施設(IR)について、あくまでも法律ができてからのこととなるが進めていきたい。IRは、カジノ施設だけではなく、ホテルやショッピングモールなど様々な施設が一体となった施設で、新たな観光を担う施設として期待が寄せられている。経済の活性化にも寄与するものと考える。しかし、カジノ依存症などの社会的な負の側面についての懸念がある。その対策については、法律ができた後にも国の必要な対策が検討され、しっかり見極める必要がある。この機会にIRに関する理解を深めてもらいたい」と話した。
 わが国に蔓延する「ギャンブル依存症」の現状について、北海道立精神保険福祉センター所長田辺等氏が講師を務めた。IR-tanabe.jpg
 ギャンブル依存症とは、ギャンブルをしたい強い欲求があり、自制できない状態のことで、ギャンブルへの反応が高まり、より抜け出せなくなる。日本人の依存症について、ギャンブル依存性の人が持つ問題(3年間)について、田辺氏が同センターで担当した症例を紹介した。
 「長年に渡り発症し続け、繰り返す。自己破綻・退職・自殺・うつ病などを伴い、非合法なことを考えるようになる」など、悲惨な実態を語った。
 「2013年の調査で、日本のギャンブル依存症患者は536万人。なぜ日本に多いのか。要因として、依存症が増強し、娯楽やストレス発散にする人が増え、消費者金融の普及で資金を調達しやすい、遊技場の普及、女性も利用しやすいなどの要因となる。
 カジノ導入により、新たな依存症問題が発生し、裏カジノや青少年対策、外国人対策など社会環境対策が必要となり、自己破産へ離婚増による家族への福祉的対応など課題が多い」と伝えた。
 引き続き、「IRとは何か~北海道型IRの可能性と留意点」について、国際カジノ研究所木曽崇所長が講師を務めた。
IR-kiso.jpg 木曽氏は、「地域に観光客を引っ張るためには、既存の観光資源を軸として、カジノがどうカバーできるか、機能的に補完できるかが重要となる。収益性の低い観光資源を収益性の高いカジノ施設で補完する。季節や時間によって需要変動する観光資源をカジノ施設で補完する」と強調した。
 「小樽は夜の観光資源がなく、札幌は夜に強い観光資源があるため、小樽に観光客が増えるか、補完関係を見極めることが大切。好影響として、各業界における雇用の創出などや観光消費の誘因、関連産業に対する経済波及効果、新たな財源創出を期待できる」と話す一方、統合リゾートを考える中で、自治体の責任として地域治安対策、ギャンブル依存症対策、青少年教育、交通渋滞問題などを示した。
 「少なくとも自治体側がしなくてはならないことは、特にギャンブル依存症の問題や、青少年教育に関してである。ところが、わが国の義務教育は、賭博に関するリスク教育がなにもなく、最大の問題。自治体の役割を確実に果たしつつ、国に必要な体制の整備を求めるのが必要。ギャンブル依存症に罹らない施策が一番大切で、みんなで真剣に考えなければならない。プラスとマイナスを比較し、負の影響に対して抑制策があるのか考えた上で、判断してもらいたい」と締めくくった。
 北海道型IR道民フォーラム