伝統技法で魅力ある表現 小樽日本画協会展


nihongaten1.jpg 伝統技法により、輪郭や質感を大事にした「小樽日本画協会展」が、7月2日(水)、市立小樽美術館(色内1)1階市民ギャラリーで始まった。
 昭和21年4月に、故・本間聖丈氏が発足させた日本画と水墨画の会で、今回で36回目を迎えた。会員の高齢化と会員減少により、今回初めて同会会員の千葉晃世氏が講師を務める「札幌日本画クラブ斗水会」も賛同し、20代から89歳までの29名と、昨年亡くなった三村京子さんの遺作を含めた0号からP120号サイズの日本画と水墨画57点を展示している。
 また、あまり馴染みがない日本画に使用する胡粉(こぶん)や岩絵具・水干絵具・つぶ膠(にかわ)や筆などの道具を展示し、タイミングが良ければ、水墨画を体験することもできる。
 同会・上田入子代表は画歴30年以上。日本画4点を出展し、その中の大作「魚と硬貨」は、道展での入賞作品。元気に泳ぐ真鯖を何匹も描いた印象深い作品で、今までとは違ったテーマにも挑戦している。ピンク色の下地に箔を貼り、色の入れ方が何重にもなる。実際に真鯖を買って観察し、2つと同じ模様がないことが分かったそうだ。nihongaten2.jpg
 来月90歳になる村田愛子さんは、水墨画3点を出展。作品を通じて、生き生きと作品づくりに励む姿が伝わってくる。
 他には、季節の花々や風景画、布を貼り付けた(コラージュ)作品など、日本画独特の表現で描かれ、水墨画では、寺院を入れた冬景色の風景画や水面に映る影を描いた作品、色をつけた墨彩画もあり、出展者それぞれの個性を生かし、作品づくりを楽しんでいる。
 日本画は、和紙や絹などの布地に、墨・岩絵具・胡粉・染料などの天然絵具を用い、膠(にかわ)を接着材として描く特殊な技法が使われている。金箔を貼ったり、もみがみの手法でアルミ箔にしわを出したり、日本画ならではの独特な技法がある。
nihongaten3.jpg 上田さんは、「試したことのない技法もあり、自由に試すことができるのも日本画の魅力のひとつで、皆さん楽しみながら作品づくりをしている。この機会に会場で日本画を見て、興味がある方は、是非入会してもらいたい」と話した。
 小樽で毎年開かれる日本画展は、同会のみとなり、油彩や水彩と違った独特な色彩や表現に、来場者は見入っていた。
 第36回小樽日本画協会展 7月2日(水)〜6日(日)10:00〜17:00(最終日16:30)
 市立小樽美術館(色内1-9-5)1階市民ギャラリー
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