2012(平成24)年5月に、小樽商科大学構内で起きた飲酒死亡事故についての和解が成立したことの記者会見が、5月1日(木)18:00から、同大学で開かれた。和田健夫学長、大家繁夫副学長、鈴木将史副学長、前学長の山本眞樹夫氏が出席した。
同大学のアメリカンフットボール部の部員が、大学内のグランドで、バーベキューパーティを行なった際に、過度な飲酒による死亡事故が発生。新入部員だった1年生男子学生(19)が死亡する事故が起こった。部員50人を無期停学などの懲戒処分、同年7月に同部を廃部にした。
4月30日(水)に、謝罪などを求めていた遺族と、大学及び9名の元部員との間で、和解が成立した。これまで、商大の調査報告書では、飲酒強要の有無について、「未成年1年生を含む多くの学生が、自分たちは自発的に進んで飲酒したと述べる」とし、「本件パーティーにおいて飲酒を求める明示的で強い心理的な強制があったとは言えない」と結論づけ、責任にはお茶を濁していた。今回、これまで飲酒の強要はなかったとしていた大学側の考えを翻し、「飲酒の強要となり得る状況があった」とし、「謝罪した」ことへの注目が集まった。◎関連記事
記者会見の冒頭、和田学長は、「飲酒による死亡事故」の和解に関する声明文を読み上げた。
そして、昨日4月30日(水)に、和田学長と山本前学長が、故人宅を訪問し、長い間両親へ悲しい思いをさせたことを侘び、遺影に焼香し、故人に改めてお悔やみを述べ、今後二度と同じ事故が起こらないように誠心誠意努めることを伝えたとした。
和解に関して飲酒の強要があったと、なぜ変わったのか経緯について質問が相次いだ。
和田学長は、「強要があったとか、認めたとかということではなく、和解契約書に従い和解した」と理解を求めた。
また、「事故調査委員会、第3者委員会の報告書において、問題とされたのは、誰が誰に対して飲酒を強制したのかではなく、和解の内容は、未成年者を含む飲酒経験の乏しい1年生部員にとっては、飲んだ方がいいんだと思わざるえない心理的な飲酒の強要となり得る状況であることを認めたもの。亡くなった故人が、一旦、小屋で寝ていたが、また、飲酒するなどそういう気持ちで飲酒したと思われることから、心理的強制ともいえる状況が作られたことを認めて謝罪している」と述べ、「学生が勝手に飲んたのではなく、酒を飲まなければならないと思い飲んだ状況を認めたことによる心理的な飲酒の強要」を強調した。
和解に至るまでの経緯を和田学長は、「遺族に和解を申し出たのは、昨年の7月31日。8月14日から、遺族の代理人から和解への条件が示された。その際に、和解協議に参加するよう元部員にも伝え、9回協議が行われた」と説明した。
山本前学長は、「私が在任中に起きた事故で、できれば3月中に区切りをつけたかったが、残念ながら和田学長に引き継いでもらった。円満な形で和解に達し、和田学長に感謝している」と述べた。
再発防止策について、鈴木副学長は、「第3者委員会からの提言に沿って、1つは、授業中に飲酒に関する啓発の講演や、入学式ですでに行われた飲酒に関するオリエンテーションを今後も数回行う予定。今日もサークルの代表を集め、飲酒についてのビデオを見せた。
さらに、飲酒に関する誓約書を取る。有効な方策として、全学生からの誓約書の提出を目標としている。学生自治体から、未成年が出席するコンパでは一切、アルコールを出さない自主的な規制を行っている。さらに、各サークルから飲酒に関する宣誓書をそれぞれに取る。来年度から、新入生全員からできるだけ早い時期に誓約書を取る」と報告した。
最後に改めて和田学長は、「故人が搬送され入院し、毎日、顔を見に行っていたが、今でも思い出し辛い。改めてお詫びを申し上げ、ご冥福を祈る。飲酒事故が、再び起こらないように最大限の努力をしていきたい」と述べ、山本前学長は、「重大な結果となり、遺族に深くお詫びを申し上げたい。2度を起こらないように、大学側でも様々な策や啓蒙や計画をしている。それを、見守っていきたいと思う」と謝罪のコメントを述べた。
なお、同大では、5月7日(水)12:15から追悼式を行う。大学体育館前に誓いの碑を建立し、故人の追悼とともに、飲酒の防止に向けて改めて追悼する。教職員、学生も参加し、誓いの言葉や献花等を行う予定。
5月1日、この記者会見に先立ち、14:30から札幌で遺族が会見を行い、また、元アメフト部員8名の代理人(弁護士)から、和解に至った経緯を説明する声明が発表された。
◎関連記事