市民ギャラリー主宰 古屋五男氏死去


furuyashi.jpg 画歴55年の小樽の画家、道展会員や小樽市美術展(市展)の運営委員長を務めた古屋五男氏(77)が、1月18日(土)に白血病で亡くなられた。
 古屋氏は京極町出身で、長年、教師として小中学校に勤務。画家として、漁船をモチーフに、小樽運河や後志の漁港の船を写実的に描いた作品が多い。
 発表する場がない人のため、また、刺激を与え合い絵の技術の向上を図るために、2001年6月に、自宅を改装しギャラリーを創設。そこで、古屋氏が講師を務める絵画教室を開講。多くの人々に絵の楽しさを指導し、生徒や絵画仲間に慕われていた。
 また、同教室主催の絵画展は、1月の「新春展」に始まり、「古屋教室絵画展」、お互い助け合い、励まし合う仲間の「輪(わ)」と、若い気持ちを持ち続けようとの意味を込め「若い=輪絵(わかい)」とした、教室に通う生徒がもう一段上を目指す「輪絵(わかい)画会展」、絵を創作するという意味から名づけ画歴40年以上のベテランの「創(そう)の会」の作品展、テーマを決めて取り組む企画展、樹木のような成長をと始めた実力ある8人の絵画展「七樹(ななえ)会展」等を開催してきた。他にも生徒の個展など、1年に数々の絵画展を同ギャラリーで開催し、多くの市民や絵画ファンが訪れている。
 1月14日(火)には「第12回新春展」を、1月19日(日)まで開催していた。昨年12月に体調を崩し、市内の病院へ入院中、1月2日に自宅の外泊許可がおり、その時に描いた「次の部屋・花(私)」が、古屋氏最後の作品となった。この作品と得意の小樽運河の2点を展示していた。同絵画展期間中は、古屋氏の姿はなく、実行委員も不安を隠せない表情だった。

昨年9月の七樹会展の作品
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今年の新春展で
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 絵画展では、来場者に笑顔で応じ、詳しい説明やその時々の絵画展の特徴を語り、ユーモアを交えた会話に、同ギャラリー内は笑い声が絶えなかった。
 昨年10月29日から11月3日まで開催した「創の会」が最後の絵画展となり、古屋氏は「小樽の具象愛好家や絵を勉強する絵画教室の生徒にも、この作品展を見て、これからの作品の参考にしてもらいたい」と話していた。
 同ギャラリー企画の、1つのテーマにそれぞれの感性を閃かせた作品を集めた絵画展を、毎年4月に開催している。昨年の”風”をテーマにした企画展開催時に、次回のテーマを”ふるさと”と決め、すでに、作品を完成させた出展者もいるという。今後、同ギャラリーでの絵画展の開催の行方を心配する関係者も多い。
 告別式で弔辞を読んだ村元道男さんは、昨年12月に古屋氏から、絵画教室を引き継ぐように頼まれていた。
 21日(火)に、古屋夫人から、同ギャラリーの鍵を託され、「遠慮なく使ってください」と言われたという。
 現在、教室には23名の生徒が在籍し、村元さんは引き継ぐ決意を固めた。同ギャラリーの運営については、継続の方向で、関係者と相談し協力を得て決めたいとしている。
 村元さんは「先生からいろいろな教えを聞けたのは嬉しいことだった。心配のないように、教室も解散とならないよう頑張りたい」と話した。
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