魚一筋の水族館員が語る!「魚からワクワクを学ぶ」


 小樽市教育委員会が主催する平成25年度第3期はつらつ講座「新ふるさと紀行」が、1月9日(木)13:00から、生涯学習プラザ・レピオ(富岡1)で始まった。
 はつらつ講座は、生涯学習のきっかけづくりとして、5月から3期に分けて開講している。20歳以上の市民や周辺町村住民を対象に参加者を募り、3期は、1月6日(月)から3月17日(月)まで、「楽しいフラダンス」「ナツメロを歌う会」など9講座を開講。同紀行は、小樽を中心とした自然・風土・歴史や身近な問題の知識を深め共有し、経験豊かな講師陣の講演を聴講できる。
 第3期目の今回には33名が参加した。毎回20名前後の参加者だったが、久しぶりに多い参加者となり関係者は期待を寄せていた。
 全10回が予定されている第1回目は、小樽水族館飼育部魚類飼育係の三宅教平主任が講師を務め、「おたる水族館でワクワクを学ぶ」と題して開かれた。
0109furusatokiko.jpg 三宅氏は、大阪出身で北海道大学水産学部卒業後、おたる水族館へ入社し、魚一筋に、魚を魅せる水族館の工夫をしている。
 講座の内容は、最近話題となった食品偽造について、魚の名前や子育て、小樽水族館内の海獣公園の様子や暖海系生物の来道、魚から学ぶ人生観など、1時間半にわたった。
 はじめに、話題となった食品偽造についての話では、エビやカニの画像を見せて、名前を参加者と考えた。カニに詳しい参加者が多く、毛ガニ、ズワイガニ、タラバガニ、花咲ガニを全部見分けることができた。
 タラバカニによく似たアブラガニについても説明し、甲羅の突起の数で違いを判断する方法を説明。生きたカニでは、色に違いがあり分かりやすい。タラバガニやアブラガニは、足が8本でヤドカリの仲間。足が10本あるものがカニの仲間と説明した。
 生物の名前には決まりがあり、和名・学名・地方名・英名がある。アマエビは地方名で、和名はホッコクアカエビと呼ばれる。また、小樽で馴染みの深いハッカク(八角)は地方名で、和名はトクビレと呼ばれると紹介した。
 食卓に登場する鮭について、紅鮭、銀鮭、アトランティックサーモンのパック表示の原産地を見て、養殖か天然かを見分ける。
 魚の子育てについて、ホッケは、産卵期になるとオスの表面に変化が見られ、縄張り争いをする。メスは産卵後どこかへ行き、オスが卵に水を吹きかけ世話をし、卵の腐敗を防ぐ。5年前に、日本で初めて小樽水族館でホッケの孵化に成功した。その孵化したホッケを画像で紹介。孵化後6ヶ月くらいまでをアオホッケといい、綺麗な青色のホッケの画像を見せた。この頃は、水面を泳ぐため青色で、その後、海の底で生活し、体表の色が変化すると話した。
 同館の海獣公園(通常冬期間閉鎖)では、地形を利用しプールを作り、飼育プールが海と繋がっている。1月から3月は、野生のトドやアザラシを見ることができる。同館飼育中の国内最高齢のゼニガタアザラシのトラばあさんは43歳。以前脱走経験があった。珍しいオジロワシやオオワシ、6月にはイルカなどにも遭遇できる。
 暖海系生物が来道し、一昨年9月には余市でジンベイザメが捕獲され、同館で展示した。餌を食べず、10日ほどで海へ返した。その時のジンベイザメの様子を画像で紹介。北海道沿岸では、気温が1.5℃高くなり、海に与える影響は大きいと話した。
 また、三宅氏が魚から学んだ人生観を紹介。
 エゾトミオ(トビウオ科)の厳しい環境で生活や、ホッケは40〜50日間、食事をせずに子育てする姿や、ホヤには、プラスの形の入水口とマイナスの形の取水口があり、プラス面を取り入れ、前向きに考えることを教わった。ハリセンボンは、驚いたり怒ると、針を出し膨れるが、数分・数秒で元通りになり笑顔となる。感情的になってもすぐに切り替える大切さを教えてくれたと話し、参加者も共感した。
 最後に三宅氏は、「生きていく上で生き物の支えが必要。生き物の命を頂いている。恩返しをしたい。笑顔あふれる水族館となるよう努めたい」と締めくくった。
 市内在住の60歳代の女性は、「何度かはつらつ講座には参加している。今回は生活に繋がる魚の話が聞けてためになった。新ふるさと紀行は、小樽に関わる講座で、海上観光船や、遺言についても知りたい。主婦目線ではやさい教室にも興味があり、今後楽しみにしている」と話した。
 小樽はつらつ講座開講要項