版画・篆刻・歴史的建造物の絵画展 市立小樽美術館


hangaten.jpg 11月20日(水)から24日(日)まで、市立小樽美術館(色内1)では、3つの作品展が開かれており、多くの来場者で賑わった。
 同館1階多目的ギャラリーでは、「第17回ペンギンクラブ木版画作品展」が開かれている。同会講師北村猛氏と会員15名の作品39点と、会員が季節に合わせて1月ずつ担当し制作する、恒例のカレンダーと小作品の有志作品が並んだ。
 同クラブは、月3回2時間、北村氏を講師に版画を学んでいる。クラブ名は、同講師が最初に指導する練習画題が「ペンギン」だったことから名づけられ、その画題は、作品展のプログラムの表紙に使い続けられている。
 同作品展では、各会員の得意なものや好きなものを画題に作品づくりに取り組み、1人2点以上出展を原則としている。作品が完成するまでの工程の木版の展示や港や運河などの風景画の作品が並んでいる。版画は、色の数だけ木版が必要となり、大変な作業が必要となる。

 入会6年目の亀井孝一さんは、市内の木造建築をスケッチして「消えゆく木造建築」と題して2枚出展。「下絵を描き、木版に彫り、刷る。様々な制限があり、思うようにいかないもので、自分の描きたいものがどれだけ出せるかが版画の魅力でもある。会員の先輩の言葉に、”版画は絵の俳句”と言われ、描きたいものをシンプルに捉え、簡略されている絵。色を使うと絵として描きやすいが、少ない色ほど難しい」と話した。
 作品はどれも、講師の作風に染まることなく、個々の個性を活かした作品を発表している。
machinamiten.jpg 同館市民ギャラリー1では、小樽再生フォーラム主催の「まちなみ公募展」を開催。市内の小中高生の小樽運河や歴史的建造物を題材にした絵画の入選作品19点を含む219作品(小学生200点、中学生18点、高校生1点)を展示している。
 同フォーラムは、小樽運河を守る会の精神を継承する会で、運河や倉庫を題材に「親子のスケッチ会」を開催していたが、5回目となる今年度は、市内の学校に通う小中高生を対象に、運河や歴史的建造物を入れた風景画の未発表作品を募集したところ、学校の写生会で描いた作品の応募があり、予想以上に集まった。11月16日(土)に、小樽美術協会会員の山田守之氏・高橋晟氏、日本水彩画会会員の三留市子氏が審査員となり19点を入選とした。
 同フォーラム代表運営委員会議長・篠崎恒夫氏は、「200点を超える作品が集まり、嬉しく思う。スケッチ会のベースであり、競う力の出し比べの場を提供したことを誇りに思い、目標が達成できたと思う。面白いのは、公的に認められた歴史的建造物以外を題材に灯台や寺院、古い建物を市民が見た歴史的建造物として描き、目が向けられ嬉しい。今後はもっと歴史的建造物が描かれることを期待する」と話した。

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 市内在住の女性は「写生会の絵が同じで個性が出ていない。入選も高学年に押され、1年から6年までは差が出てしまうが、低学年にもいきいきと描いた絵が多かった」と話した。
 24日(日)15:00〜16:00、同館研修室で、同篠崎氏による講演会があり、小樽の町並みの素晴らしさをテーマに話す。引き続き、同会場で、表彰式が行われ、審査委員の講評も行う。
tenkoku1.jpg 同館市民ギャラリー2では、市内在住の木邨文芳氏の個展「篆刻」を開催。5年前にも開かれ、同館では2回目となる。木邨氏は、40年前から篆刻の創作をはじめ、札幌や東京で個展を開催。不定期で指導もしている。
 篆刻とは、印章を作成する行為で、書と彫刻を合わせた工芸芸術。工程は、紙に描く文字を書き、その文字を反対にして石などに鉄筆で彫っていく。石は中国産の「青田石(せいでんせき)」を使用。彫る硬さの加減が良い。会場には、雅印(がいん・個人が自筆の書画や書状などに押すための印章)や、古代中国の殷(いん)で使った文字(甲骨文)や論語の言葉を使った作品など、約70点以上の作品を展示し、5年以内の作品が7割を占める。

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 木邨氏は「中国の漢字の成り立ちを理解したり、文字の線には1本1本意味があるなど、文字の成り立ちをおさえる」と話した。23日(土)11:00から漢字の生い立ちについての講演が行われる。
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