小樽アートプロジェクト!「和光荘見学会」


artpro-wakosou.jpg 通常は公開していない歴史的建造物「和光荘」(潮見台2 )の見学会が、9月21日(土)から29日(日)の9日間の日程で開かれている。予約制で500人以上が申し込みをし、建物見学を楽しんでいる。
 主催する「NPO小樽ワークス」(遠藤謙一良代表)では、2010年から歴史的建造物とアートが共存する空間をつくり、小樽の再生を目指そうとアートプロジェクトを企画。札幌市立大学デザイン学部講師の山田良氏の発想をもとに、市内の歴史的建造物で、2010年に旧三井銀行小樽支店、2011年に旧小樽商工会議所で開催。2012年には、北海製罐小樽工場第3倉庫に、労働者に見立てたアートを並べ、幻想的な光景を生み出し話題となった。
 今回4回目となる「和光荘」は、北の誉酒造の経営者・野口家自邸として、大正11年(1922年)に建設。木造3階建て一部鉄筋コンクリート造の和洋折衷の歴史的建造物。周辺は、日本庭園に囲まれ、四季折々の景色に彩られる。正面から見ると、モダンな洋館建の外観が印象的だ。

 今回の山田氏の作品達は、和光荘とをつなぐ接合点になることを目指し、過去と現代を共存させ、より一層魅力を引き出し、とらえ直すきっかけとしての空間芸術であるともいえる(配布資料より)。その1つに、襖絵をいくつも置き、絵が描かれたものや、絵のない額のみのものもある。見る人にどのような仕掛けかを問いかけている。
 また、庭園には、8mほどのやぐらを建て、中から建物の外観を眺められるように設置。頂上には鏡があり、和光荘の屋根を眺めるための仕掛けとなっている。その内部には、茶室を設けた。その茶室と和光荘を結ぶ「花道」と呼ぶ橋を作った。
 27日(金)13:00から、見学者11人が1階に集まり、NPO小樽ワークスメンバーで小樽再生フォーラム運営委員会の篠崎恒夫議長から、建物概要などの説明を聞いた後、見学会がスタートした。階段を上り、2階の応接室、別館のサンルームや食堂。各部屋の窓からの景色を眺めた。途中、山田氏が建てたやぐらの中に順番に入り、そこからの建物の外観を楽しんだ。
 篠崎氏は「正面は洋で、東側は和室となり、はっきりと洋と和に分かれている。金沢の建築様式のベンガラ色を使い、見事に融和させている。91年前の姿が保たれ、これだけの物が小樽に残り誇りと言える」と解説が続いた。
 市内在住70歳代の夫婦は、「今回2回目で、妻が見ていなかったので、一緒に参加した。早く開放し、多くの人に見てもらいたいと思っていた。アートについては、その人の見方で魅力を感じてもらいたいとのこと。襖絵のひとつに、今回開放していない地下のステンドグラスの絵を表現していた。この建物を設計した人も、作り手の技術者も凄いと思った。部屋の鏡には、隣にも同じ部屋があるかのように映り、広々と見えたり、壁に日の光を入れるようにするなど各所に工夫され感心した」と話した。

 NPO小樽ワークス
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