紙が生み出す芸術"紙と光展" オーセントホテル


kondoshinobu.jpg 小樽在住の近藤忍さん(56)の個展「紙と光展」が、9月1日(日)から30日(月)まで、オーセントホテル小樽(稲穂2)1階ギャラリーで開催中。
 ローズウィンドウという紙のステンドグラスや切り絵、アイロン画など約40点を展示。人を和ませる作品に訪れた人々は心惹かれていた。
 近藤さんは小樽出身で、16歳の頃から絵を学び始めた。美術系の短大へ進学し、彫塑(ちょうそ)を選択。坂青嵐氏や本田明二氏に学んだ。最初は札幌で事務員として就職。ペン画の個展を小樽や札幌、東京で開催していた。転職しインテリアアドバイザーとして働き、滝川では、某百貨店に就職。壁面にディスプレイする仕事を担当するなど、芸術的センスを生かした仕事をしてきた。
 10年前に小樽へ戻り、ヨーロッパ製品を扱う玩具店へ就職。そこでは、販売している画材を使った講習会を開催し、近藤さんが講師となり、子どもや母親へ指導していた。クレヨン画は、ドイツ製の蜜蝋のクレヨンで、蜜蝋を活かした作品の楽しさを伝えるよう指導した。10年前に発症した病いで、2年前に体調を崩し退職。家族の介護などが重なり体調は悪化していった。
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 2012年夏、ロンドンオリンピックをテレビで観戦中、選手がそれぞれの苦悩を乗り越え、諦めずに頑張っている姿に感動し、自分はこんなことをしていて良いのかと気持ちを奮い立たせ、制作意欲が沸き起こり、持ち前のセンスを生かしたローズウィンドウや切り絵、アイロン画の作品作りを始めた。
 昨年9月に、小樽信用金庫桜町支店で個展を開催。12月にはちょこっと・カフェで、仲間と合同展。その時、仲間の出展作品と重ならないよう、切り絵を出展した。
 今回の個展は、昨年の個展を開催した当初から決めていて、「母が元気なうちに、個展を開き見せてあげたい」との思いもあった。訪れた母は、感激し泣いていたと言う。
 作品はどれも紙で明りが透ける素材を使用。「紙と光展」と名付けた。
kondoshinobu2.jpg ローズウィンドウは、専用の紙を折り、細い線や太い線、ハートやダイヤ、花や魚を切り広げ、紙を数枚重ねて色を作り出すこともできる。初心者向けに幾つかのパターンが用意してあり、近藤さんの指導では2時間くらいで完成できるという。
 作品はすべてオリジナルで、切り絵は下書きせずに、はさみやナイフでフリーハンドで切っていく。例えば、猫を切り抜いたとすると、そこから物語が浮かび、次々と登場人物を増やしていくそうだ。どれも、切り絵の中の登場人物や動物は楽しそうな表情で、メルヘンの世界。細かく根気のいる作業となるが、近藤さん自信が楽しみながら作品を制作し、同じ作品はできないという。
 お客さんから、切り絵の内容やサイズをリクエストでき、注文での制作も受け付けている。来場者は、細かい作業を想像し、どんな道具を使っているのか質問したり、「素晴らしい作品ばかり」と声を揃えて感心していた。
 近藤忍 個展「紙と光展」 9月1日〜30日10:00〜19:00(最終日15:00)
 オーセントホテル小樽(稲穂2-15-1)1階ギャラリー 入場無料