企画展「不思議昆虫ナナフシの世界」総合博物館運河館


nanafushi1.jpg 小樽市総合博物館運河館(色内2)では、小さな企画展「不思議昆虫ナナフシの世界」を開催中だ。
 同館所蔵の世界のナナフシ類の標本30点と、小樽市オタモイで7月26日に採取した「シラキトビナナフシ」5個体を展示している。人気の昆虫ナナフシとあって、注目が集まっている。
 同館が所蔵するナナフシ類の中から、東南アジア、インドに約20種類生息する木の葉に擬態することで有名なコノハムシ類の標本や羽を広げると25cmもあるもの、中には、木の枝そっくりな50cmもあるナナフシを展示している。日本のナナフシでは、エダナナフシ、コブナナフシ、ナナフシモドキや「シラキトビナナフシ」がピンクの羽を広げた状態も展示されている。
nanafushi2.jpg ナナフシは、熱帯地方を中心に3,000種類が生息。日本では主に本州以南に約20種類が生息している。北海道では、渡島半島南端部と胆振地方東部、空知地方南部でわずかに見つかっているだけだった。
 昨年(2012年)6月に同館の昆虫の調査員が、生まれたばかりの幼虫を市内赤岩・オタモイ地区で発見。同館へ持ち帰り飼育。成虫となり「シラキトビナナフシ」と判明。小樽での生息を初確認した。
 同館では、1991年から昆虫調査を、2010年から市内赤岩・オタモイ地区での昆虫の調査事業を行なっている。同館山本亜生学芸員が中心となり、ボランティア5、6名の協力で、生息している昆虫のリスト作りを行い、昨年からナナフシの調査も続けられている。nanafushi3.jpg
 昨年の発見から今年にかけて、昨年は100m程の範囲だったが、その回りやそれ以上の広い範囲にもナナフシがいることが分ってきた。生息場所や生態に不明な点が多く、これからの調査に期待が寄せられている。
 展示中の「シラキトビナナフシ」は、企画展が始まった頃(8月3日)に約15個体だったが、現在は5個体が飼育され、ミズナラの葉を良く食べている。6月に孵化し、6回程の脱皮を繰り返し、8月に成虫となる。そろそろ産卵期に入り、その後、一生を終える。
 「不思議な昆虫と言われる由縁は、葉や枝に姿を似せる”擬態”する特徴があり、また、飛ぶためではなく、広げて衝撃を和らげる程度のものや、突然開き、敵を威嚇するためとも言われる羽を持つものもある。nanafushi4.jpgメスのみの単為生殖(メスだけで繁殖を行う)や、昆虫にしては飛びぬけて大きいものもあり、興味深い」と、山本学芸員は話す。同企画展は10月4日(金)まで。
 同館運河館では、小樽の歴史を展示する第1展示室と、小樽の魅力ある自然を紹介する第2展示室がある。第2展示室では、代表的な昆虫であるクワガタ・セミ・トンボ・バッタ・蛾や蝶など約1,000種類を展示している。他にも植物やキノコ、森の生き物などを紹介している。
 9月14日 (土)13:30〜14:30には、第1展示室で、運河館ギャラリートーク「ナナフシの七不思議」を開催。申込不要 問合せ 0134-22-1258 小樽市総合博物館運河館