大人のための読み聞かせ "名作の時間"に幕


yomikikase1.jpg 市立小樽文学館(色内1)では、最終回となった第73回大人のための読み聞かせ”名作の時間”を、同館カフェコーナーで14:00から開催。最終回を惜しむリピーターや市民70名が会場を埋めた。
 はじめに、厚谷恵さん朗読の重松清「季節風」、次に大塚稜子さん朗読の森鴎外「高瀬舟」。会場は、読み手の声だけが響き、参加者はそれぞれの場面を想像し、物語の世界へ引き込まれていった。
yomikikase2.jpg 同読み聞かせは、平成18年7月からほぼ月1度のペースで、福祉ボランティア11名が年2~4回の交替で朗読。これまで72回で読まれた作品は、古典から現代のベストセラー作品まで150点以上にのぼり、文学好きの市民などに親しまれてきた。同メンバーの体調不良などが原因で、第73回目をもって最終回となった。
 同館・玉川薫副館長は、「月に1度、2つの作品を2人で朗読し、定着し親しまれた。子ども対象の読み聞かせはあったが、大人の人生経験を積んだ方々のためのじっくりと聞かせる読み聞かせがあっても良いのではと始まった。文学作品に触れ、バラエティーに富んだ質の高い読み聞かせとなり、長きに渡り続けられ感謝に耐えない思いである。最終回に相応しい現代作品と明治の文豪の作品となった」と挨拶した。
yomikikase3.jpg 最後のトリを飾った大塚さんは、「6年と数ヶ月間、30~40分の完結作品を選ぶことが大変の苦労で印象的だった。聞き手がすぐ前にいて直に反応し、伝え方の勉強になった。皆さんが知っている本を読む時は緊張した。最後に「高瀬舟」を選んだ理由は、私自身が好きで、参加者は女性が多く、しつこくならない内容にした。何度も足を運んでくださりありがとうございました」と話した。
市内60代の女性は、「最終回と知り初めて参加した。知らなかったのでもっと前から来たかった。話を聞き場面が想像でき、声の表現も良かった。素晴らしかった」と最終回を惜しんでいた。