南スーダンから研修員 小樽の港湾管理を視察

 南スーダン共和国からの研修員9名が、1月28日(月)13:00、小樽市役所(花園)別館3階第一委員会室へ到着し、小樽港の概要説明を受けた後、港内視察が行われた。
 主催した北海道開発局では、JICA(独立行政法人国際協力機構)の海外技術研修受入事業に協力。同局が主体となり、支援プロジェクトの一環として、北海道における地域開発の仕組みを題材に研修を実施。平成4年から協力を行なっている。
 研修員は、30代から60代までの南スーダン共和国中央政府や同地方政府の職員9名。一行は、1月20日に東京に到着。22日(火)に札幌入りし、札幌や千歳で水道事業の概要や道路舗装技術についての視察や講義を受けた。日程は2週間の予定。
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 南スーダン共和国は、北アフリカに位置し、日本の約1.7倍の64万㎡で、人口826万人 (2008年)。原油を輸出し、機械設備、工業製品、小麦、小麦粉を輸入している。2011年に独立。40年以上の内戦で、国土全域の開発がほとんどされてない状況。
 小樽市産業港湾部・佐藤誠一部長は、「独立してまもない国であり、道路はこれから整備が進むとのことで、現在は河川を利用した船舶での物資輸送が盛んに行われていると聞いている。日本で行われている管理運営については、港湾管理者が、国からの補助金などで港湾の整備を行い、港湾施設の利用者から使用料金を徴収して施設の補修や管理運営に充てる方法となっている。今後の南スーダンの発展に役立つことができればと思う」と歓迎の挨拶を述べた。
 同港湾室・安田邦明管理課長が、小樽港の地図を使い、小樽港の概要などを説明。午前中に北海道の開発と港湾整備の講演で聞いた北防波堤の位置も説明した。
soutsudan2.jpg 「小樽港の気候は、比較的温暖で、風も弱く、船は風の影響を受けやすいので、風が弱いということは、良い港である。中国系コンテナ航路の開設や豪華客船の寄港が大幅に増加し、平成20年度以降、全道1位の客船寄港となり、転換期を迎え、今後、小樽港と道外2つの港と連携しながら、客船を充実し観光産業を重要視している」と話し、小樽港の歴史や貨物(フェリー)についての説明もあった。通訳は、JICAトレーニングコーディネーターの真貝慶子氏が務めた。
 その後、北防波堤、勝納サイロ、小樽港マリーナを現地視察。北防波堤では、防波堤等の説明を聞き、研修員からは、「津波は大丈夫か?」などの質問があった。同サイロでは、白衣とヘルメット、軍手を着用し、操作室へ入り、監視操作盤の前でサイロのついての説明を受け、7階へ行きサイロ内を見学した。サイロの概要や穀物搬出入の方法など小樽倉庫事業協同組合職員から詳しい説明があった。マリーナでは、「小樽港の水質についての管理はどこが行っているか」「ワニはいるか」などの質問があった。予定時間を1時間近く超過しての視察となった。
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 南スーダン共和国中央政府のカルロ・オチョム・ジーンズさん(54)は、「とても興味深く、午前中に講義で聞いた北防波堤を見られて良かった。サイロではどうのように保管されているのか、最後はマリーナを訪問視察でき喜んでいる。日本の港湾がとても良く管理されていて、様々なことが学べた。南スーダンマラカルタウン国境では、ナイル川に沿って整備事業を進める予定。視察は川ではなく海だったが、川を改良して港の建設に適応させていきたい。マラカルタウンは農作物の運搬の拠点で、マラカルタウン他、全体の発展に貢献する施設したい」と話した。
 一行は、終了後、札幌へ戻り、29日(火)には東京へ移動。研修成果を発表し、2月2日(土)に帰国の予定。