かっての良き時代を彷彿させながら、小樽駅近くの静屋通りに、ひっそりと佇んでいたキャバレー『現代』(稲穂2)の建物が解体され、一時代に幕が閉じられた。
キャバレー『現代』の創業は、戦後の昭和23年、進駐軍向けのビアホール「GENDAI(現代)」として始まった。当時の米軍の兵士らが訪れ、昭和26年に店の名前を「キャバレー現代」と改め、日本人客も利用できる店として、本格的にオープンしたという。
建物は、小樽のニシン漁三大網元のひとつ、白鳥家の別宅として明治42年に建てられた由緒ある邸宅で、堂々とした門構に赤い屋根と白い壁のコントラストが目立っていた。
店内は、高い天井に、1階にダンスフロア、バンドのステージ、ゆったりとした高い背もたれの赤いソファー、2階にも同型のソファーのテーブル席が並び、ここにしかない独特の雰囲気を醸し出していた。
ホステスは 全盛期で50人を数え、常連客で賑わい、小樽の良き時代を演出していた。しかし、長年勤めるホステスが多く、晩年には、平均年齢が60歳を超え、70、80歳もいる超高齢ホステスのキャバレーとして知られていた。
しかし、小樽経済の消長とともに、次第に客足が減少したことから、平成11年秋に、その50年の歴史に幕を閉じた。
その後、歴史ある建物は、利用されずひっそりと佇んだままだったが、4年前には、昔を懐かしむ人たちが、1日だけ復活させて、往時を偲んだこともある。
10月末には、解体工事が進み、小樽の一時代を画した建物は消え、更地となった。ひっそりと姿を消した建物の歴史は、所有者の札幌の料亭「杉ノ目」のHPに「杉ノ目物語」としてアップされている。
◎きょうど料理亭杉ノ目〜杉ノ目物語「キャバレー現代」
◎建物紀行〜白鳥家別邸(キャバレー現代)
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