おたるブックアートウィーク 23日まで開催中


 9月11日(火)から始まった「おたるブックアートウィーク2012」は、本をモチーフに、様々なアプローチから本に親しみ、本について考える、個性溢れるイベントとして話題となっている。
 花園グリーンロードに4年前に開店し、夫婦で店を切り盛りしている洋風居酒屋「洋食台処なまらや」では、6名の個性ある作品が並ぶ。イラストレーターでもある妻の宮澤英子さんの作品も出展している。同店での日常を4コマ漫画に描き留めた中から抜粋したものを、このイベントのために本にし展示。また販売もしている。以前、東京でのブックアート展でも3、4回参加している。
 本を溶かして瓶の形にし、その上にキノコを乗せたキノコアートは、京都在住の福本浩子氏の作品。宮澤さんの同級生で東京在住の江原徹氏のパラパラ漫画も面白い。なまらやオーナーの荒井正輝さんは「初めはブックアートとは何かよく分らなかった。作家さんも各店を回り、当店でも楽しんでくれていた」と話し、宮澤さんは「本というキーワードに様々な切り口の作品を出してもらい、面白い展示になったと思う。気楽に足を運んでもらいたい」と話した。

 天狗山の麓にある古民家の手作り「Cafe菜はな」では、月替わりで行なうギャラリーで展示中。
 上川郡清水町の酪農家兼絵本作家・洞内由紀子氏の写真集と絵本、京都在住の立体造形作家・城戸みゆき氏の、懐中電灯で照らしてレンズを覗くと「祖母の書斎」や「菌類図鑑」と題した世界が見えるユニークなブックアート作品。オーナーの蛭田昌弘さんは「作品の思いが直に伝わり世界が感じられる」と話し、妻の美井さんは「作家さんが遠くから来てくれて、ブックアートを通して出会いがあり、ありがたく思う」と話した。
 JR小樽駅より徒歩5分5号線沿いの洋食レストラン「小樽Muse(みゅーず)」では、6名の作家の文学作品とその原画を展示。小樽在住の加藤多一・重岡静代両氏の作品も展示。キャンドルのロマンチックな灯りの中で、作品と慣れ親しんでもらえるように工夫している。
 若い人が本を見てゆっくりとした時を過ごしたり、イベントを知らなかった人もここへ足を運び、賑わっている。既に絶版となった本もあり、本の重厚感があるという。本の中の絵と原画を照らし合わせ、また違った作品を感じることができる。揺れるキャンドルの灯りに、壁に掛けられた原画が浮かび上がり、ブックアートをゆったりと楽しめる会場となっている。オーナーの米澤秀司さんの妻は「本を読むには時間がかかるイメージ。ブックアートをきっかけに、ゆっくり本に触れる機会になれば」と話していた。
 おたるブックアートウィーク2012は、9月23日(日)まで開催中。
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