帆船「日本丸」出港 岸壁に大勢の見送り客



 小樽港に寄港していた帆船「日本丸」が、16日(木)14:00、名残惜しそうに高い長笛を鳴らし、横浜へ向けて出港した。
 8月9日(木)に小樽港に優雅な姿を現した帆船日本丸は、11日(土)から16日(木)まで小樽港第3号埠頭14番バースに着岸していた。12日(日)には一般公開を行い、停泊中の日没後から22:00までイルミネーションを点灯し、多くの帆船ファンが連日岸壁に集まり、帆船「日本丸」の人気の高さを証明していた。
 16日(木)14:00の出港時には、実習生による「登檣礼(とうしょうれい)」が見られるとあって、いつもは閉鎖中のふ頭入口ゲートも開けられ、大勢の帆船ファンが岸壁に詰め掛け、その勇姿をひと目見ようと約1,000人が見守った。登檣礼とは、帆船の出港時に船員を帆桁(ヤード)などに配置し、見送り客に対する謝礼を意味する儀式。
 あいにく朝から雨模様となり、小雨が降り続き天候が心配されたが、出港時には、雨も止んだ。実習生はオレンジ色の実習服を着て、帽子を被り、号令とともに、3本のマストに分れてよじ登った。1番高いマストは、海面上約50m。するすると登る姿に普段の訓練の成果を発揮していた。
 脱帽の合図で、一斉に帽子を取り、舳先の実習生の「ごきげんよう」の掛け声に、全員で「ご〜き〜げ〜ん〜よ〜」と片手を挙げ、大きな声でゆっくりと3度叫んだ。会場では、その勇姿に多くの見送り客の拍手や歓声が沸き起った。岸壁から船体がゆっくりと離れるマスト上で、実習生が一斉に手を振り「登檣礼」の儀式は無事終了。タグボートに助けられ、大きな船体を移動し、小さくなっていく船の甲板に実習生がずらりと整列し、見送客に答えていた。
 同船は、8月24日(金)10:30、横浜港へ到着する予定。清水海上技術短期大学校専修科第26期生104名(うち女子8名)は、9月30日までを乗船機関としている。
 市内80歳の女性は「小樽に住んでいて初めて帆船を見た。早めに会場へ着き、見送りの儀式を見に来た。素敵で感動した。弟がタンカーに乗っていたので、昔は、このような訓練をしたのだろうかと思い出していた」と感動した様子だった。