新市立病院入札の目途立たず! 工期の見直し必至

 小樽市病院局(並木昭義局長)は、5月23日(水)の新市立病院統合新築建築主体工事(49億5,800万円)の入札中止公告に続き、24日(木)には、30日(水)に入札を予定していた空気調和設備工事・給排水衛生設備工事などの管工事や電気設備工事など計4本の設備工事の入札中止公告を行った。
 この小樽市始まって以来の巨額の大型建築工事の2度にわたる入札中止で、小樽市(中松義治市長)の行政能力の低さが満天下に晒され、大恥をかく結果となった。この事態を受け、市は、急きょ、市議会各会派の説明(22日)や記者会見(23日)での経過説明に追われ、結局、市長が市議会各会派代表を前に「すみませんでした」と詫びるなど(25日)、大揺れに揺れている。
 入札参加表明していた大手ゼネコンのわがまま勝手のやり放題の入札前日の2度にわたるドタキャンで、2者蜜月の小樽市役所と久米設計の面目は丸つぶれとなった。大型建設の経験が深い専門職員を数多く抱えるゼネコン各社と大型工事の経験のない小樽市役所との落差の大きさを改めて示すことになった。
0524hospital.jpg このことは、病院局・小山部長の「私共、病院局は普段は医療するところであり、このようなこと(大型工事)には慣れていませんし、市全体としても大変重要な工事なので、市長部局とも図って決めている」と吐露していることからも分かる。
 しかし、それでも小樽市は、自らの能力不足で、各建設会社から、あからさまに応札を拒否されるような設計図面を造った久米設計頼りを替えられずに、強引にこの苦境を乗り越えようとしているが、前途は不透明のままだ。
 ただ、工期の見直しだけは必至の情勢で、市は「平成26年夏の開院予定時期を先延ばし、平成26年度中の雪が来ない時期に開院したい」と目論んでいるが、果たして市の目論み通りになるかは、極めて疑問が残る。何故なら、新病院建設では、市や市議会の目論みは、前山田市政以来、13年間もことごとく外してきた実績を有しているからだ。
 さらに、市の設計の積算のやり直しで、ゼネコンが主張する12~13億円の価格上積み要求などが安易になされ、それを市議会が容認するようなことがあれば、賛成した市長と市議会議員は、市民の大きな批判に晒されることになろう。
 過疎地指定の「日本一の貧乏都市」(前山田市長の言葉)が、少子高齢化の大波に揺られ、患者の減少の中で、138億円もの巨費をかける豪華病院は、他都市では半額で建設されている。しかも他市では、産科も周産期医療も整備されているのに、小樽市の新病院には、産科も周産期医療もなく、市民が子供を生めない欠陥病院となっている。
 2度の入札中止で、先行き不透明になった機会の今こそ、市民には、もう一度、この新病院の問題点の再検証が迫られている。欠陥だらけの豪華病院とともに、小樽市が沈没するのを、138億円の借金を背負わせられる市民は、黙って手をこまねいて見ているだけなのだろうか。小樽市民の良識が問われるところとなっている。
 入札中止の公告
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