中心街の130億円の"幽霊ビル" 6,671万円で叩き売り


maruiimai.jpg 小樽市街の中心街に130億円をかけて建設され、デパートやホテルが入っていた旧丸井今井ビルが、一軒家並みの価格6,671万円で、叩き売られているが、それでも買い手が現れるかが注目されている。
 市内稲穂の中心商店街・サンモール一番街に面して建つ商業ビルは、1990(平成2)年に、丸井今井主導で市街地再開発事業として約130億円かけて造られた。地上13階・地下1階建(延43,600平米)に、丸井今井小樽店と小樽グランドホテルが入居し、小樽のランドマーク的存在だった。
 しかし、丸井今井の破綻で、2005(平成17)年10月に小樽店は撤退。翌11月には、ビルの地権者であるメガネのタカダ・岩永時計店・スズラン薬局・農協精肉・竹生園などが、ビルとしての価値を維持する目的で、1階・地下1階を使用してサンモール・ネオをオープンさせ、暫定営業を行った。
 2009(平成21)年2月、小樽グランドホテルが営業停止に追い込まれ、3月にサンモール・ネオも閉館した。以降、空洞化が続き、雨風雪にさらされ、”幽霊ビル”となっている。
 同ビルの所有者だった「小樽開発株式会社」は、負債が80億円に膨らみ、2010年4月に破産した。不動産に抵当権を設定しているプレミア債権回収株式会社が、同社所有の土地建物全ての不動産を競売にかける申立を行い、2010年4月、札幌地方裁判所が不動産競売の公告を行った。
 2011年4月の第1回の競売の最低価格は、6億2,195万円とされたが、買い手は現れなかった。第2回の競売は、同年8月に、最低価格を前回の半分の3億1,089万円に下げたが、それでも買い手は現れなかった。
 これは、同不動産の土地建物の権利関係が複雑に入り込んでいるためだ。同ビルは、29もの商店等を取り壊し権利を集約して、市街地再開発事業で建てられたことから、地権者が一部の土地建物の権利を所有したままとなっている。全体としての売却や再開発の解体にも、これら残っている地権者全員の同意が必要とされることから、触手を伸ばした大手デベロッパーなども、結局、手を引いてしまった。
 2012年1月に入り、第3回目の競売の最低価格が、6,671万400円として公告された。当初の競売価格から10分の1まで下がり、まさにバナナの叩き売り状態だ。入札期間は、1月20日〜30日で、2月2日に開札される。それでも買い手がない場合は、2月6日〜10日の期間に、申し出人に特別売却することになる。過去2回では、この特別売却に応じる者は現れなかった。
 小樽中心街の130億円の商業ビルが、バナナの叩き売り価格の6,671万400円で買えることになったが、同ビルには、固定資産税43,734,994円と都市計画税9,371,777円の計53,106,771円(平成21年度)が課せられている。再利用や再開発をするにしても、地権者との合意や税負担が重くのしかかることになる。
 同ビルが、”幽霊ビル”となって以来、周辺の商店が次々に閉店を余儀なくされるなど、その影響は、小樽の経済に重く圧し掛かっている。
 周辺の商店主は、「マイカルとの二極化で、中心商店街が沈んでしまったのは、バブルに踊った新谷市政と何もしなかった山田市政の責任だ。小樽市政がもっとしっかりしていれば、こんなことにはならなかった。135億円で新市立病院なんか建てていないで、病院は済生会の新病院にまかせ、自らは税を払わなくてもよい市役所が6,671万で買って、新しい魅力あるランドマークを建てるか、老朽化している市役所を移転させ、コンベンションにするなり、世界の建築家に知恵を借りて、新しい小樽を作る絶好のチャンスでもあるが、今の中松市政では期待する方が無理なのかな。残念だね」と話していた。
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