高砂や〜「能楽体験会」 小樽能楽文化復興継承プロジェクト


 平成23年度文化庁「文化遺産を活かした観光復興・地域活性化事業」の能楽体験教室「能楽で寿ぐ初春」が、12月23日(金・祝)市立美術館(色内1)1階市民ギャラリーで開かれた。主催は旧岡崎家能舞台を生かす会。
 揺・仕舞・囃子の体験教室が開かれ、初心者でも数回で演奏可能な曲を稽古する。その成果は、祝春を祝う会で発表される。能楽は、日本文化の代表的存在。小樽では、地域の歴史を伝える芸能でもある。
 13:00より謡コース、稽古曲「高砂」。稽古回数8回で小学生以上が受講でき、発表会に参加する事を条件としている。初回は8名の参加で、シテ方宝生流師範・能楽師菅田昌義氏が講師となり、体験会が開かれた。
 「高砂 待謡(たかさご まちうたい)」を講師の指導のもと歌った。
 「高砂は、結婚式で歌われたもので、一番有名な歌でおめでたい曲である。稽古の基本は、直接復唱して歌いついていく。記号に頼らず覚える事。そういうものと徹すると、違和感なく覚えられる」と菅田氏は説明。参加者は、1行1行丁寧に指導され、熱心に聞き独特の歌い方を学んだ。
 「『この浦船に』は、上の句でゆったりと、『帆をあげて』は下の句で、パッパと運んでが基本となる。最後の行は、特別の歌い方となる。歌を暗記するために、同じ所を何回も繰り返し聞き、段々と行を増やしていく。最終的に全部暗記する。声を出せる姿勢を保ち、継続する事が大切」と解説した。
 小樽在住の本間さんは、「美術館での会場は、明るくて声が響いて良かった。昨年も参加し、今回は2回目で覚えているところは見ないようにして歌った。忘れていた所を思い出す事ができた。この教室を楽しみに参加している」と、能楽に大変興味をもち歌声も素晴らしかった。
 菅田氏は、「小樽での参加者は、しっかりと歌い、舞ってくれたりと反応が良い。風土を感じる。子ども達が祖父から能の舞台の話を聞いて親しみ、啓蒙の一環として体験会を開いている。他の町にはないことで、全国的にも、仕舞、謡いを盛んに啓蒙している所はない」と話した。