特別展「日銀支店建築と建築家 辰野金吾・長野宇平治」開催


nichigin1.jpg 「日本銀行支店建築と建築家 辰野金吾・長野宇平治」が、12月21日(水)から2012年3月18日(日)まで、日本銀行旧小樽支店・金融資料館特別展示室内(色内1)で開催されている。
 日本銀行は1882年に開業し、日本銀行券を全国に供給。地域の金融を円滑にするために、出張所や支店を各地に設置した。1896年より、辰野氏、長野氏らの設計により、本格的に支店の建築に取り掛かった。今回は、この二人が設計に携わった日本銀行支店建築について、当時の写真など30枚を展示し紹介している。
 辰野金吾(1854〜1919)は、日本の建築界の基礎を築いた中心人物として知られ、日本銀行本店本館を設計し、明治期の日本銀行支店建築全てに携わる。東京駅、両国国技館なども設計している。
 長野宇平治(1867〜1937)は、辰野に師事し、数々の銀行建築を手掛ける。古典主義建築を追及。旧北海道銀行本店(現小樽バイン)などが現存する。
 日本銀行は、1896年(明治29年)に、本店を辰野氏が設計し、日本橋へ新築移転後、辰野氏と長野氏らの設計によって本格的に支店建築に取り掛かった。

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 西部支店は1898年竣工。石積み煉瓦造2階建て。設計図に細かい指示書きが、今でも残され、大変貴重なものとして展示されている。
 大阪支店は1903年竣工。西部支店と同じ造り。1906年には京都支店、名古屋支店、煉瓦造(辰野式)2階建て地下1階。広島支店、金沢支店、函館支店と続く。この3店は、木造2階建で、木造なのは、出張所扱いであったためと、日露戦争のため急ぐ必要があった。当時の設計図面には、辰野・長野氏の印が押され展示されている。函館支店は、1924年の大火で全焼した。
 1912年(明治45年)に小樽支店、1913年(大正2年)に福島支店を建設。煉瓦造モルタル塗り。この2支店の違いは、福島支店はモルタルに赤砂を混ぜている。
 小樽支店は、40万円弱の費用をかけ、大阪支店に次ぐ建築費用をかけたもので、当時の小樽の繁栄ぶりが伺える。
 営業場の柱をなくすため、鉄骨小屋組、屋根下地に防火のためコンクリートを用いる。当時の最新の建築技術が使われている。
 その後、長野氏が、岡山支店、神戸支店、松山支店、広島支店、松江支店を建設。岡山支店は、長野の代表的な建物で、現在は音楽ホールとして使用され、現存するものも多い。
 今回の特別展は、明治から大正、昭和の支店を紹介する、初めての特別展である。同館では、多くの来場者を期待している。
 日本銀行旧小樽支店・金融資料館
  開館時間 9:30〜17:00(入館は16:30まで)
  休館日 月曜日(ただし月曜日が祝日の時はその翌日以降の最初の平日)
      年末年始(12月31日〜1月5日)
  問合せ 0134−21−1111
 金融資料館”望楼ツアー2012″のご案内(PDF)