3つの作品展 美術館でアート展・絵画展始まる

 市立小樽美術館(色内1)市民ギャラリーでは、ギャラリー1で作佐部雅代イラスト展、ギャラリー2で第15回百寿満卓光信作品展、多目的ギャラリーで第5回CoCoBeansクラフト教室作品展が、それぞれ11月16日(水)から20日(日)まで開かれている。
 初の個展となる作佐部雅代イラスト展は、書き溜めたものを23点展示している。クレヨンと水彩絵具を使い、優しいほのぼのとしたイラストが白い壁にかけられている。
 作佐部さんは「長く絵を書いているので区切りにしようと、思い切って開催した。沢山の人に見てもらいたい。建物や風景の絵が多く、自分の頭の中でイメージして描いている。他の人が見るとどのように思うのだろうか」と話す。
 小樽在住の6名の会員の名前の一字を取り、組み合わせて会の名前が付けられている百寿満卓光信作品展は、今回15回目を迎え、油絵・アクリル・水彩・墨・パステルと絵画作品と、タペストリー、流木のオブジェ・計37点を展示している。
 岩下寿男代表は「今回は8点出展している。船・港を主題とし青を基調をした水彩画や、クラッシク音楽からイメージした作品もある。他の会員は、世相を描いている人、その時の自分の感情、日々の思いを描いている。この作品展のために製作したものばかり」と話す。
 近藤満子さんは、水彩画3点と、帯から作ったタペストリー7点、流木のオブジェ2点を出展している。「流木のオブジェは、”雲龍”と来年の龍年をイメージしたもの、”絆”は、自宅庭のツルで作った。タペストリーは、使わなくなった帯から作っている。普段から作品の事が頭にあり、いろいろと発想が沸いてくる」と話す。
 毎回見に来ている市内の男性は、「以前は、郵便局2階で開いていた。その頃は、”がんばろう”という気持ちが出ていたが、今は、力が抜けリラックスした作品が多い。みんなベテランで大人が遊んでいるような作品展」と感想を話した。
 多目的ギャラリーで開催中のCoCo Beansクラフト教室作品展は、主宰の佐野由起子さんと生徒15名の作品100点を展示している。佐野さんは、東京都出身で小樽に住んで19年。教室は7年前に設立した。
 展示内容のメタルエンボッシングアートは、ヨーロッパ・ロシアでは何世紀も前から職人によって伝承され、イコン等のテクニックを現代的にアート化したもので、日本に入って6年、北海道へは4年目となる。95%の錫のシートに専用の道具を使い裏表にエンボッシングをし、模様を施し作品に仕上げる。第3回日本メタルエンボッシングアート大賞で準大賞を受賞した作品も展示している。
 ポーセラーツは、セラミックペーパーに絵を書き、転写シートを白い陶器などに貼り焼き付ける。絵を書かなくても、転写シートに絵入りのものがあり、オリジナルの食器を楽しめる。
 タティングレースは、特殊な編み方があり、普通のレース編みとは違う作品となる。
 グラスアートは、イギリスでは、50年前から作られていて、日本に入って10年目。特殊フィルムとリード線を貼ると、ステンドグラスのような美しさが出る。今回の作品展では、春夏秋冬をそれぞれに表現したものや、友禅の着物の柄をグラスアート作品にしてる。このアートは、佐野さんが一番最初に手掛けたもの。素材は、ガラス・アクリル・プラスチックでも良い。
 カリグラフィーは、アルファベットや絵文字を専用のペンで書く西洋書道。今回の作品は、”百人一首”をイタリック体で書いた生徒作品と、ゴシサイズドイタリック体で書いた”荒城の月”と、”海”をブックハンド体で書いた佐野さんの2作品。
 佐野さんは、「今回は、ギャラリー半分を洋の物とし、他半分を和のものに分けている。今年は、震災があり、日本の良さを深めたいと思った。これらのアートは、西洋から来たものだが、日本の和を表現した作品を作った。また、この作品展は、生徒の発表の場であり、作品展を開催すると、技術の向上へと繋がる。知られていないアートを多くの人に広めてゆきたい」と話す。
 会場に来ていた市内女性は、「初めて見て知るアート作品で、発想も素晴らしく素敵な作品ばかり」と、興味を示していた。