自閉症の「アー君」のミニイラスト展  珈琲工房

 自閉症を抱える奥沢在住の「アー君」こと山田晃弘さん(36)のミニイラスト展が、住ノ江の神仏湯の並びにある珈琲工房(住ノ江1)で開かれている。
 大好きな車やアニメキャ ラクターなどのイラスト約60点が紹介され、見る人の心を和ませ元気にさせてくれると、好評を博している。
 幼稚園の頃から絵を描き始めた「アー君」。絵本やカレンダー・チラシの裏、新聞紙、電話帳の中古車覧などに大好きな車とアニメキャラクターを好んで描いた。驚くのは、描き始めるのはドアやタイヤなど細部からで、それでも1~2分の早さで全体像を描き上げてしまう。ほとんど頭の中にあるイ メージを下書きなして一気に描きあげる。そのほとんどがペンのみで、色はつけてこなっかった。
 1年前からパソコン教室に通い始め、マウスでもイラストに挑戦している。誰がどんなに「色をつけたら」とアドバイスしても断っていたが、最近は赤 や緑など様々な色をつけるようになったという。
 イラストは、「アー君」と母・純子さん(60)にとっては、コミュニケーションともなっている。直接言葉でコミュニケーションをとっているが、 「アー君」にとって言い難いことはアニメキャラクターに言わせている。キックボードが欲しい時は、キャラクターを自分に置き換え、 キャラクターをキックボードに乗せて「楽しいな」と吹き出しをつける。純子さんが、「坂が多いから危ない」とコメントすると、キャラクターが別の キャラクターにぶつかりケガ をする絵を描き、「反省」している様子を示す。純子さんに「食べ過ぎ」と注意されると、キャラクターを描き、「メタボになる」と吹き出しを添え る。
 珈琲工房には、「アー君」がこれまでに描いたニッサンジューク、ジャガー、ドラえもんのどこでもドア、ピカチュウなど、車や表情豊なアニメキャラ クターのイラストと、母親と会話した純粋なイラスト作品が並べられている。
 純子さんは、「晃弘は、絵が好きだけど、要望が言えない。最初は、単語と絵を描いて訴えてきた。パソコン教室に通ってからは文字を描くようになっ てきた。私がコメントすると喜ぶ。一つの大好きなものから色々な分野に枝分かれしていく。何でも良いから好きなものを伸ばしてあげることが必要なんだと思った。腕の静脈と動脈が畸形でいつか手術しなければならないかもしれない。その前に何か残してあげたいと思って、今回このような機会を頂 いた。この展覧会にあたって、ローマ字でAKHIRO YAMADAとサインを入れるようになった。普通のお母さんにしたら普通のことだが、私た ちにとってはとても良く覚えてくれたと思うこと。この展覧会が、一生の1ページになってくれれば嬉しい」と話している。
 「アー君のミニイラスト展」
 11月30日(水)11:00~18:00(最終日は17:00)まで
 15:00~16:00は配達のためクローズ
 珈琲工房
 小樽市住ノ江1-5-2
 0134-23-1633
 定休日:第1日曜日