約100年の水源消える!市が奥沢ダムの廃止を決定



 小樽の水道水の水源として、1914(大正3)年から稼働してきた、奥沢ダムの堤の一部から陥没箇所が見つかり、現行の施設基準による改修には、多額の費用がかかることから、小樽市水道局は、8月30日(火)、記者会見を開き、奥沢ダムの廃止を決定したことを明らかにした。
 奥沢ダムは、土を盛り上げて築造したアースダム。勝納川を水系に、水道専門ダムとして1914(大正3)年に完成。貯水量423千㎡、堤体延長234.5mに及ぶ水道施設で、97年間稼働してきた。
 今年の6月下旬から、濁りを伴う漏水量が増加してきたことから、7月6日に、勝納川の取水ゲートを閉じて調査してきたところ、8月5日に、満水位から約4m下がった地点で、ダム堤体内に、円錐状の直径3m、深さ1.4mの陥没箇所を確認した。
 しかし、現行の施設基準による改修には、数十億円以上の費用がみこまれること、また、同ダムを廃止しても、市内の給水量に不足をきたすことがないとの理由から、廃止決定に至ったとしている。
 廃止決定の経緯、廃止理由、今後の対応、ダム廃止後の影響と対策等については、水道局の配布資料「奥沢ダムの廃止について」を参照。
 奥沢水源地の水道水からペットボトルの「小樽の水」が作られ、一般販売もされてきたが、今回の事態で、今年の製造は中止となった。今後は、朝里ダムの豊倉浄水場の水に変えることも検討中で、この場合、ペットボトルのラベルの張り替えが必要となる。
 また、奥沢水源地は、土木学会の「土木遺産」に登録されている、貴重な近代化遺産でもあり、水管橋に落ちる「水すだれ」は、広く知られている。
 市水道局では、陥没箇所の対応に追われており、大雨で、溢れる事態を避けるため、河川管理者の道とも協議して、安全第一の措置を講じることにしている。

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