政治資金違反問題に市民の厳しい声 市議会調査特別委



 小樽市議会の「政治資金規正法違反問題に関する調査特別委員会(前田清貴委員長)による「政 治資金規正法違反問題に関して市民から意見を聞く会」が、7月20日(水)13:00から小樽 市公会堂大ホール(花園5)で開かれた。
 「本事件に関し、今後議会に望むこと」をテーマに、参加 した58地区の町会長から意見を聞く会で、発言は、1人3分程度を予定していた。しかし、発言する町会長が8人となったことから5分程度に変更した。
 公会堂大ホールは、町会長席と一般傍聴席に分けられていたが、用意された椅子は全部埋まり、この問題に対する市民の関心の高さを示していた。発言した各町会長からは、中松市長後援会と市幹部職員が起こした政治資金規正法違反事件に、次々と厳しい意見が上がった。
seijisikin-siminnoiken1.jpg 「選挙は公平・透明性を保たないといけないが、この事件は逸脱している。選管が置かれている市役所の幹部職員たちは改めるべき。森井さんは3,000票足らず、落選したが、パーティー券の売買などがなく普通だったら入っていたのでは、と考えてしまう。住民に与えられた一票の重大性を考えるべき。職員には厳正な処分を与えて欲しい。若い職員を抜擢し、従来の幹部職員は意識改革するべき。高額療養費 の問題もあったが、こういうことは今後あってはならない。市議会の活性化をするべき。議員の仕事を公開すること。議会報告会は必ずされるべき。月1回が望ましい。市民の信頼を一日でも早く取り戻すために、幹部の意識改革が望まれる」(稲穂第2町会長)
 「政治資金規正法違反は大変な問題。議員の視点に問題がある。町会の皆は、中松さんを市長と呼べないと言っている。社員も皆言う。このまま臭いものにフタをするのか。選挙をちゃんとやってても、中の人が公正でないという問題。若い人の次代をどう考えるのか。議員は選挙を頑張れば良いだけなのか。透明性ある議会にして欲しい。48年小樽で商売しているが、皆小樽にいたくないと言っている。若い人たちのために 小樽を何とかしたい。商工会議所は辞めた。金を払っているのが情けなくなった。小樽市民の話を聞いて欲しい。小樽市の根本を変えましょう」
 「地域の20人近い人から個別に話しを聞いた。市民は愕然としている。言いようがないという意見が多数だった。ただ事ではないと思った。 ある議員の話を聞くと、どこでもやっている。時間が経てば皆忘れる。悪いのは道新とあるところという人がいてがっくりした。昨日も4~5 名の人と話をしたが、リコールせよ、徹底的に追及せよの声や、仕方ないという声もあった。この事件によって、小樽市民として恥をかかせられた。政治も行政もこれを機に襟を正して意識改革し、倫理の勉強をして欲しい。市民は怒り心頭。開いた口が塞がらない。市民をバカにしな いで欲しい。納得のいくようにしてもらわなければいけない。変な馴れ合いで小樽をおかしくしてしまっている」(幸町会長)
 「この違反問題は大変遺憾。市民の信頼を損ね、大きく反省し解明しないといけない。政党機関誌、カンパの問題、政治パーティのあっせん。議員と職員は双方の仕事を通じ仲良くしている結果だ。中松市長候補と政治協定を結んだが、表面の一方的報道に違和感を覚える。真相解明に努力するべき。議員個々の意識改革をして仕事を進めて頂きたい」」(天神町会長)
 「このまま終わらせるなら市民はバカにされている」(塩谷町会長)
 「常識外の問題。小樽市役所と社会の常識が大きくズレている。前例があるからやっていたでは、感覚が麻痺している。テレビや新聞で報道されて恥ずかしい。市長は道義的な責任として退任してもらってクリーンな政治をして欲しい。市民感情を逆撫でした市政で粛々と血税が使われている心配がある。住民の立場に立って税金を使って欲しい。議員にも何か心に隙がある。市役所は市民のために何をするところなのか。組織の堕落。市民として誠に残念」」(朝里が丘町会長)
 また、今回の「市民から意見を聞く会」に関して、「3分だけとか、質問には答えないというやり方はいかがか。発言する気もなくなった」。「ただ市民への格好良さを見せるものと思ってしまう。どのような形で調査が進められているか分からないが、一般企業なら当然解雇になっている。その点について議会の方はどう思っているのか」など、会の運営方法にも強い不満が寄せられた。
 これに対し、出席した委員(議員)は、「皆さんの意見を聞かせてもらったが、外に出ていつも言われている。市民の信頼を失墜することは二度と起こ らないようにしなければいけない。処分が適切なのか皆さんの意見を反映しながらやっていきたい」(鈴木喜明議員・自民党)
seijisikin-siminnoiken2.jpg 「党派を超えて真相解明、厳正な処分、再発防止のため会を開いた。罪に問われた幹部職員が留任では、いかがなものか。降格を含めて厳正な処分されるようにと決意している。皆さんからの意見を聞く場をこれで終わりにすることはしない」(北野義紀議員・共産党)
 「厳しいご意見を頂いたが委員会としても皆さんの意見が反映出来るよう臨んでいる。議員、議会にも厳しい意見を頂きましたが、活性化検討 委員会の中で市民に見える議会をつくっていきたい」(千葉美幸議員・公明党)
 「厳しい見解を受け止め、議会に持ち帰りたい。皆様のご意見を反映したい」(林下孤芳議員・民主市民連合)
 「議会が行政をチェック出来ず大変申し訳なく思っている。小樽市以外の方からもたくさん意見を頂いており、これは小樽市にとっての恥。市民の納得の得られない結果になるなら、市長の不信任決議案も辞さない覚悟でやっていきたい」(成田祐樹議員・一新小樽)などとと答えた。
 前田委員長は、「問題解決に向けて鋭意取り組んで参りたい」として、1時間半の会を閉めた。
 町会は、市から補助金を交付されていることで、これまでは市長・市役所との蜜月関係にあると見られていた。しかし、今回の中松市長後援会と市幹部職員が起こした政治資金規正法違反事件に対する市長・市議会の対応については、多くの市民から厳しい糾弾の声が上がっていることが、各町会長の強い発言を支えていることが分かる。
 市長や市議会が、今回の事件を小手先だけの収拾策でお茶を濁そうものなら、さらなる市民の怒りを巻き起こし、政治的な大きなうねりを呼ぶことになろう。この意味からも、前科持ちとなってしまった現職部長たちに、中松市長が、市民が本当に納得しうる懲戒処分をどこまで決断しうるかに、今後の中松市政の行方がかかっていると言える。
 市政に物言わぬ町会が、市政に物言う町会に変貌したことは、小樽の政治構造の末端組織の認識が大きく変わりつつある証左でもある。小樽の市民が変わらなければ、小樽の政治は変わらないことを示した意味は、限りなく大きい。