小樽新病院の起債 「具体的な相談なし」 道議会で質疑


 小樽市の新病院建設問題が、4日(月)、開会中の北海道議会の予算特別委員会で質疑が行われた。
 質問したのは、民主党の広田まゆみ道議。「少し具体の事例で伺いますが、新聞報道で先日基本設計について市議会で可決がされた市立小樽病院の新築移転が話題になっております。小樽市においては、普通会計の赤字が解消されたばかりで、病院事業の資金不足比率も高く、健全化に向けてさまざまな取り組みをされている途上にあると認識しています。その中で、今回の小樽市議会の決定には、全国的にも医療関係者からも注目をされています。もし、起債を道が許可する場合は、市立小樽病院の新築移転に伴う起債が償還可能であると道が判断した基準を明確にするべきと考えますが、現時点での道の見解をうかがいます」。
 道は、「病院建設に係る起債の許可にあたっては建設計画や収支計画などが、他の医療機関との役割分担や地域において必要な医療提供体 制を踏まえた適切なものであること。また、国が定める『地方債許可基準』においては、資金不足を有している場合には、『公営企業経営健全化計 画」』基づき、その資金不足が解消されることが必要とされている。道としては、小樽市において、病院建設に向けた基本設計が進められていることは 承知しておりますので、今後、具体的な相談の際には、こうした点を踏まえ 適切に対応して参りたい」と答弁した。
 この答弁からは、小樽市が量徳小での新病院建設の起債で、これまで道と具体的な相談をしていない事実が、道議会の審議でも明らかになった。
 広田道議は、「現時点では、具体的な相談はないということで指摘にとどめますが、小樽市議会での議事録などを見ると、道民の医療を守ると言う視点からたいへん看過できない問題がある。法定受託事務でもあり、淡々と基準にてらして処理するという行政としての姿勢もあると思うが、道民に対する説明責任として、判断基準の可視化、透明化を求めたい。総務省に対する説明責任よりも道民に対しての説明責任を果たしていただきたい。
 病院会計は、不良債務を12億近く抱えている状態でこの債務を償還しないと基本的には認められず、そのためには、一般会計からの繰り出しが必要だと考えますが債務解消のための新たな税負担や経費の削減などについて市議会の議論には見えないし、市民が理解しているとは思えない。388床96億の基本設計ですが、総務省のガイドラインから逸脱している。しかも、人口の減りつつある地域で同機能の病院が2つ以上ある場合、共倒れになる危険性があるため、そこで再編ネットワーク協議会を設置することが求められていますが、合意が得られないまま、議会で病床数と診療科を決定してしまっているなど、後志管内全体の医療の問題にも関わります」と指摘している。
 小樽市の新病院建設の起債(借金)の許可には、2009(平成21)年度末の11億6,303万8,000円の不良債務を、2010(平成 22)年度で解消し、31億9,044万円の資金不足額を2013(平成25)年度までに解消することが条件となっている。
 小樽市は、この高いハードルに向かって、一般会計から市民の税金からジャブジャブつぎ込んでおり、これを市民へのツケで解消しようとしている。今年度の一般会計からの繰入は、23億8,000万円の巨額に上る。
 来年4月の引退を表明している山田勝麿市長にとって、新病院建設は、3期12年の最重要公約だが、結局、12年間何も出来ぬまま、築港地 区での基本設計の中断に伴う委託料2,581万円を支払い、新たに量徳小での基本設計料3,961万円を2010(平成22)年7月1日に発注した。自ら招いた過疎地指定の中で、築港地区から量徳小へ建設場 所を変更し、148億7,300万円の豪華病院建設を目論んでいる。
 しかし、この建設費は全額起債(借金)に頼るため、国・道の許可が必要だが、9月13日(月)の並木昭義病院局長の議会答弁とは違って、起債について何らの具体的な相談を道にしていないことが明らかになった。さらに、資金不足解消を迫られており、築港地区での建設中断と同じく、量徳小敷地での建設の先行きも、またまた不透明なものとなった。関連記事
 新病院の建設では、小樽市医師会が、「コンパクトで安価な計画」を求めて、豪華病院建設に反対しており、公立病院ガイドラインでは、他の市内の医療機関との再編も迫られている。しかし、市長は、これらの指摘を無視し、2011(平成23)年度の当初予算で、起債に頼る実施設計の予算計上をしようとしている。12年間の公約違反のまま辞 めていく山田市長の任期中には、この起債許可が取れないことが明白となっている。
 結局、小樽市の新病院建設問題は、来年4月の市長選後の新市長の手に委ねられることになる。 山田市長が推進したこの豪華病院建設を、起債許可が取れぬままで継続して進めていくのか、改めて新病院のあり方や規模・建設費を再検討し、他の医療機関との再編協議の上、新病院の建設をしていくのかが、次期市長選の大きな争点として浮かび上がることになった。
 築港地区の新病院建設では、結局、起債許可も取れず建設中断し、基本設計料をドブに捨てた市長に対しては、住民訴訟が起こされてお り、11月11日(木)には判決が言渡されることになっている。
 山田市長が起債許可の見通しをつけぬまま、2回にわたって発注した基本設計料は、無駄遣いに終わる公算が極めて強い。新病院では、「広報おたる」で、築港地区に建てることを大宣伝し、市民をだましてきたが、今度の量徳小での広報でも、同じ轍を踏むことになる可能性が高い。
 新病院建設の公約違反のまま、山田市長は、3期目12年間で、一般会計から病院会計に187億円もの繰出しをしている。この巨額の税金の無駄遣いは、今後何十年にわたって、全て市民負担となって、小樽市民を苦しめることになる。関連記事
 来年4月、山田市長は4年間の退職金約1,600万円(推定)を懐にして、後は野となれ山となれの知らん顔で、表舞台から消え去っていくのだろうか。
※後(あと)は野(の)となれ山となれ (大辞泉)
目先のことさえなんとか済めば、あとはどうなってもかまわない。
 市立病院関連
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