借金まみれの市の一般会計 借入れ総額50億円


 小樽市の山田勝麿市長は、2009(平成21)年度決算で、一般会計の赤字が3,072万8,000円に圧縮し、「一定の成果を上げることが出来た」としている。しかし、これは、他会計や特定目的基金から総額50億円を借入れているためで、単なる数字合わせにしか過ぎない。決算議会とされる開会中の小樽市議会第3回定例会では、与野党議員からもこの問題について質疑が行われた。
 「一般会計の累積赤字解消のめどはできたが、他会計や基金からの借入れがあるが、今後借入れを続けるのか、返済計画は何を優先して、いつ頃までに解消するのか」(共産党・中島麗子議員)。「健全化判断比率はすべてクリアしたとのことだが、企業会計、基金からの借入れなどの対策があった事も事実で、今後、どうこの問題を解決していくのか」(公明党・秋元智憲議員)。
 市によると、2010(平成22)年度末残高見込みで、一般会計の他会計からの借入れは30億円、特定目的基金(26基金)からは20億円で、総額50億円に上る。さらに、現在、財政健全化計画の収支計画では、2012(平成24)年まで借入れを見込んでいる。
 他会計からの借入れは、財政運営の「最後の手段」(市財政部)。累積赤字が消えたと言っていても、借金まみれの厳しい財政状況に変わりはなく、財政健全化には程遠い数字となっている。
 市長は、今議会で、「歳入と歳出のバランスを取るためには、現時点では止むを得ない措置」と答弁している。今後、相当の余裕が生じた際には、特定目的基金からの借入金の繰上償還を優先するという。
 市のサイフは、貯金残高がスッカラカン状態で、さらに借金を重ねて借金まみれの大赤字となっている。一般家庭で言う普通預金の「財政調整基金」と市債の元金償還のための「減債基金」は、2004(平成16)年度末に取り崩したままのゼロ状態で、何らの担保もされていない。
 財政調整基金は、1979(昭和54)年度に、6億円を積み立て、1987(昭和62)年度末には、最高の16億5,000万円となったが、2004(平成16)年度末で全額取り崩した。
 減債基金は、1989(平成元)年に、10億円を積み立て、1992(平成4)年度末に、は最高の40億円の残高となったが、これも2004(平成16)年度末で全額取り崩し、ゼロのままだ。
 市長は、「安定的な財政運営を行うためには、両基金は不可欠であると認識しており、そのためには一般会計の黒字を継続して維持し、剰余金をこれらの基金へ積み立てていくことが必要。今後も他会計などからの借入れに頼らない『真の財政再建』に向けて、まずは財政健全化の取り組みを継続することが、重要である」と、現在の数字合わせは「偽の財政再建」であることを自ら認めている。
 市の計画では、基金からの借入金の完済は2026(平成38)年度で、他会計からの借入金は2027(平成39)年度としており、小樽市民は、これから17年間も多額のローンの返済を迫られることになる。
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