売れない"小樽商工会議所" 詫しさ増す色内大通り


syoukoukaigisyo.jpg 小樽市指定歴史的建造物の小樽商工会議所の旧ビル(色内1)玄関前に、大きな『売』の看板が立っているが、一向に買い手が決まらず、隣接のホテルも閉鎖されたままで、かって繁栄を極めた色内大通りが、侘しさを増している。
 色内大通り沿いに建つ小樽商工会議所旧ビルは、1933(昭和8)年に竣工した。3階建・鉄筋コンクリート造の延べ1,370平米。外装は石川県産千歳石で彫刻が施され、正面玄関には土佐産の大理石が用いられている。昭和初期の貴重な建造物として、市の歴史的建造物指定を受けている。1階は事務室として利用され、2階には大会議室やテナントスペースが設けられていた。
 同所では、老朽化が進んだことを理由に、2009(平成21)年3月、稲穂1の国道沿いにある「日専連ビル」を2億円で購入し、同年6月に移転。12月から、土地代のみの5,000万円(200坪・1坪25万円)で売り出し始めた。
 移転する際に3件ほどの問合せがあったが、売却額を提示してからは一切なくなった。しかし、今春に、「売」と書いた看板を正面玄関脇に設置してから、2件の問合せがあった。
 1件は菓子加工と喫茶、もう1件は版画に特化した美術館の利用だった。菓子加工と喫茶への利用は、浅草(日銀)通りから色内側の歩行者数が極めて少ないことから断念。美術館は、建物の売却ではなく、賃貸希望だったことから、話は流れた。
 中松義治専務理事は、「市の指定歴史的建造物だということと、老朽化していることが足かせになっている。雪解け時期に2件の問合せがあったが、これ以降、2、3ヶ月音沙汰ない。敷地は200坪あるから、更地にして売った方が動きがあると思うが、我々が、歴史的建造物を壊す訳にはいかない。1年ぐらいはこのままの状態で売却先を探す。来年、再来年と時間が経過する場合は、新たな対応を考えるが、中々厳しい」と話している。
 小樽に訪れる観光客は、小樽運河浅草橋街園で記念撮影し、堺町通りへ土産物の購入に向かうパターンが多い。浅草(日銀)通りを挟んで反対側の色内大通りには、旧越中屋ホテル(小樽グランドホテルクラシック)、旧三井銀行小樽支店などの歴史的建造物が残されている。しかし、いずれも閉鎖されたまま、何も活用されていないため、観光客や市民の通行も少なく、小樽経済の現況を示す侘しい状況が続いている。
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