市の新病院 元利償還額は193億6,900万円!


 小樽市(山田勝麿市長)の新病院建設計画が、借金とその利息を合わせると193億6,900万円もの巨費に上ることが、6月10日(木)の市議会第2回定例会・予算特別委員会で明らかになった。
 市病院局が示した「起債償還の見込み」によると、新病院の起債(借金)は、病院事業債と過疎債で50%ずつ充当する。基本設計料及び移転雑費を除き、 2011(平成23)年度から2014(平成26)年度までで、建設工事等111億2,700万円、医療機器等35億円の計146億 2,700万円。
 建設工事等の借金は、病院債・過疎債とも5年据置の30年償還・利率2.1%。医療機器等は、病院債が1年据置の5年償還・利率0.9%。過疎債が3年据置の12年償還・利率2.1%。元利償還額はなんと193億6,900万円にもなる。
 一般会計では、病院への繰入金で116億4,500万円の負担を行うが、うち90億1,500万円を交付税措置することにしており、実負担は26億3,000万円となるという。病院事業会計では、77億2,400万円の実負担となる。
 同局は、2014(平成26)年度10月1日に新病院が開院することを想定した「新病院の収支試算」をまとめ、同特別委員会で報告した。
 入院患者数を1日344人、病床利用率90%、外来患者者数を1日780人と試算し、開院1年度目の2014(平成26)年度は医業収益76億7,200万円。これ以降2023(平成35)年度までは、72億2,200万円~72億900万円で推移するとはじき出している。医師数44人で病床利用率が90%と最高値の数値で計算しており、初年度は9,300万円の赤字になるもの、その後は最大で3億円の黒字を見込んでいる。
 この日の質疑では、「この際、この計画概要案を改めて仕切り直しし、オール小樽で考え直す発想はないのか」(自民・佐藤禎洋議員)。「病床利用率が 5%下がった場合、70%になった場合の試算は出していただけないか。工事費は試算の段階で変わっていくと思うが、基本設計費の予算が通ったあと、規模・機能は担保されてしまうのか、医療情勢が変わればきっちり見直しをしていくのか」(公明・千葉美幸議員)と、新病院の規模・機能について見直しを求める声が相次いだ。
 吉川勝久・病院局経営管理部長は、「実は、病院ほど最終段階まで変わる設計はない。病院は、診療科の見直しも開院まで起きてくる。実施設計に入ってからは大きな変更は難しいが、病院によっては変更するところもある。細かい変更も当然あるので、ご意見を取り入れるものは取り入れる。ただ大枠の中で、ネットワーク化で決めたものではあるのでご理解を頂きたい。
 そのときの状況によって変わらざるを得ない場合もあるが、病床数については、やはり、15年、20年の中では患者数が多いと試算している。今回の病床数は、それぞれの診療科と協議を含めた中で決めた。ただ、新病院が出来たあと、将来には、色々な状況を想定しないといけないので、患者数が減った場合、どういう状況でダウンサイジングするか、医療状況も変わっていくから、病床を変換し易いように検討していく必要がある」と答弁した。
 山田勝麿市長は、「今回出た概要案ですが、388床が多い多いという意見がある。その中で精神が80床で、オープン病床30床入っている。オープン病床は医師会の要望。差し引くと270床、済生会の新病院は250床で、なんも大きくない。大きい大きいという人の議論を聞いてみたいと思っている。どういう理解で多い多いと言っているのか理解出来ない。医療状況も変わっているので、どんどん縮小してきている。今ある診療科目をやろうとしているので、必要なものは医師を確保しようとしている。特別なことをやろうとしている訳ではないので、市民の皆さんにぜひご理解頂きたい」とした。
 民主市民連合・山口保議員は、「地元に配慮することは当然だと思う。地元の業者が頭をとってやる工事はない。一括発注で建設単価が下がれば、3割が下がったとして、30億円近い金額が下がるので、普通建設事業費が12億くらいしかないので、その浮いた分を、プールが5億で出来るから、地元で出来る工事を発注してやることを考えられないのか」と質問。
 山田市長は、「確かにそういう考え方がないことはないが、逆に言えば、地元の業者さんは、両方くれということになる。絶対言ってくる。現にもう来ている。こっちに仕事を回してくれとか。良く相談してみたいが、こっちもそっちもぜひ我々にということになる」と答えた。
 平成会・成田祐樹議員は、「当初の10年間は、この収支計画でも可能かもしれないが、病床利用率が90%で保てる根拠はあるのか。起債償還は30年間で計画が出ているのに、収支計画は10年分しかないので、パターンをいくつか出さないと議論出来ない」と質問。
 病院局では、「30年前に今の医療は考えられなかった。ほとんど予測は出来ない状況。出せと言われれば作れるが、責任を持った資料を出せない」とした。
 並木昭義局長は、「5年間はきちんと決め、医療状況が変わるので、10年程度しか読めない。札幌の4ヵ所の民間病院にも聞いたが、10年やって、年度年度で変えていくと聞いた」と答弁した。
 市側は、この日、予算特別委員会が始まる30分前に、「起債償還の見込み」や「新病院の収支試算」、「基本設計委託料について」などの資料を公表。このため、各会派の議員から、「今日示されて審議となると具体的な話に入っていけない」などの批判の声が上がった。予算特別委は、11日(金)と14日(月)の 2日間の審議で行われ、3日目の14日(月)には基本設計費の予算の採決が迫られている。