毎年毎月人口が減少している小樽市が、4月1日から「過疎地域」に指定されることになった。
「過疎地域」とは、人口が著しく減少したことにより、地域社会の機能が低下し、生活水準及び生産機能が他の地域に比較して低位にある地域とされる。
「過疎法」により、人口減少や財政力指数などの要件に当てはまる市町村が「過疎地域」に指定されると、国から財政支援が受けられる。1970(昭和45)年に議員立法によって制定された。借金の7割を交付税で手当てする過疎債の発行が認められ、公共事業の補助率がかさ上げされる。
10年間の時限立法で、これまでに3度延長されてきた。2009(平成21)年度末(今年3月)には失効するが、1月18日の与野党実務者協議で、さらに6年間の延長が決まった。一部法改正で過疎地域の指定要件が緩和されるため、小樽市が新たに「過疎地域」に追加されることになった。
市の人口は、1980(昭和55)年の18万728人から2005(平成17)年の14万2,161人までで3万8,567人減った。このため、減少率が21.34%となり、該当要件の17%以上を超えた。財政力要件では、2006(平成18)年度から2008(平成20)年度の財政力指数の3ヵ年平均が0.481となり、要件の0.56以下となった。4月1日から指定されることになっている。
道内では、140市町村が指定地域となっているが、函館や釧路などは、周辺町村との合併によって指定された。小樽市は単独での指定。市によると、10万人以上の市が合併がないのに指定されるケースは珍しいという。
「過疎という響きは悪いが、国の狙いは、地方自治体が、この財政措置を活用して盛り返すというもの」(市総務部企画政策室)としているが、それだけ小樽市の過疎化が急速に進行し、他の都市に比べ、街の疲弊度が極めて高いことを示している。
市民からは、「過疎地域に指定されるほど人口が減り、街が衰退したのは誰の責任か」、「財政支援があるからといって、こんなに衰退している街が本当に良くなるのか」、「市は、若者が小樽に住まない原因をちゃんと知り、対策を講じる必要がある」との冷ややかな声が上がっている。
一方、「過疎という言葉よりも実を見た方が良い。借金しても7割が手当てされるし、公共事業の補助率もかさ上げになるんだから」という実利を取る声もある。
市の人口は、1964(昭和39)年の20万7,093人をピークに、2009(平成21)年末には13万4,770人までに減少した。65~90歳以上の老年人口は4万1,424人で、人口の30.74%を占める高齢化都市となっている。こちら
「小樽経済は最悪の水準」と日銀に指摘されるほどに衰退し、「日本一の貧乏都市」にした山田勝麿市長の3期12年の任期の最終年で、疲弊したこの都市が、再び復活する道筋を見つけることが出来るのだろうか。
◎新たな過疎対策について 総務省 自治行政局 過疎対策室
◎過疎物語