医師の退職 樽病入院収益を直撃


 市立小樽病院(若松1)と小樽市立脳・循環器・こころの医療センター(第二病院・長橋3)の10月分の診療収入がまとまった。
 小樽病院の入院収益は1億9,531万4,000円(平成20年度2億2,925万円)で、前年差-3,393万6,000円の14.8の減。外来は1億3,243万4,000円(同1億3,041万円)で、前年差+202万4,000円の1.6%増。入院患者数は4,684人(同5,524人)で-840人の15.2%減、外来は9,209(同10,093人)で-884人の8.8%減となった。
 この10月からの収益・患者数の前年差は、昨年9月末で退職した呼吸器内科の専門医2人が不在となっている状態での比較となっている。このため、外来は、患者数が884人の減少となっているが、収益は202万4,000円と微増となった。
 しかし、入院では、患者数が840人の減で、収益も3,393万6,000円の減少と相変わらずのマイナス数字となった。これは、「樽病の入院収益が減少しているのは、呼吸器内科がやっていないので他の科に影響していることと、今年に入って、整形外科、眼科、耳鼻科が一人体制となったことで患者数が減少しているため」(病院局経営管理部)としている。
 医療センター(第二病院)では、入院収益は2億2,122万4,000円(平成20年度1億8,574万7,000円)で+3,547万7,000円の19.1%増、外来は9,183万5,000円(同9,531万5,000円)で-348万円の3.7%減。入院患者は5,772人(同5,701人)で+71人の1.2%増、外来は5,226人(同5,937人)で-711人の12%減となった。同部では、「医療センターは医師の減少がないため安定している」という。
 両院合計にすると、入院収益は4億1,653万8,000円(平成20年度4億1,499万7,000円)で+154万1,000円の0.4増、外来は2億2,426万9,000円(同2億2,572万5,000円)で-145万6,000円の0.6%減。入院患者は10,456人(同11,225人)で-769人の6.9%減、外来は14,435人(同16,030人)で-1,595人の10%減となった。
 今回は、呼吸器内科医師の退職後の昨年10月期との比較のため、樽病の外来収益は微増となったが、入院収益はそれでもマイナスとなっている。呼吸器内科医師の退職の余波が他の診療科にも押し寄せており、医師の退職でさらなる収益減も予想される。
 市の病院局では、すでに4月から9月の上半期で、病院改革プランの「収支計画」の達成は困難としており、年明けにも、毎年恒例の予算の下方修正が必須な状況に陥っている。
 この樽病の状態に、市内の医師からは、「確かに二つの市立病院を合わせた計算では大幅な赤字ですが、医療センター単独の経常収支では黒字になっております。当センターは市立小樽病院の赤字に足を引っ張られている状態です。この点もはっきり報 道していただければ幸いです」とのメールが寄せられる。
 2000(平成12)年度から2009(平成21)年度までの10年間で、一般会計から病院会計へ150億円もの多額の繰出金を支出している。今年度分だけでも、四苦八苦の一般会計から20億7,200万円もの巨額を繰り出しており、このままでは樽病存続の是非が問われることになろう。
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