6月22日(月)から一気に夏に突入した小樽市内で、”高島おばけ”(上位蜃気楼)が3日連続で観測されている。
”高島おばけ”は、石狩平野周辺から流れる暖かい南の風と石狩湾の冷たい北風が重なり合って発生する。上方に反転像が見える上位蜃気楼で、4月から6月頃に数回しか観測出来ない。
全国でも上位蜃気楼は珍しく、毎年観測されているのは、道内の石狩湾・オホーツク・苫小牧のみという。 小樽では、春の風物詩ともなっている。
今シーズンの市内では、4月12日に観測され始めた。5月21日には、大規模な蜃気楼が出現した。この後、目視で確認出来る大きなものは、中々現れなくなった。
6月に入り、ジメジメとした”蝦夷梅雨”が続いてたが、今週から一気に夏日を記録する暑苦しい天候となり、22日(月)から3日連続で”高島おばけ”が現れた。
蜃気楼の観測に取り組む札幌在住のシステムエンジニア・柴田進さん(52)は、25日(木)、銭函海岸から”高島おばけ”の撮影に成功した。この日のおばけは、中規模クラスで、トド岩が2倍くらいの高さまで伸びたり、海面も上下にゆがむなどの変化を見せた。
以下、柴田さんからの報告。
高島おばけ(蜃気楼)の撮影記録
撮影場所 ： 銭函海岸から高島岬（距離は約16Km）及び高島漁港（距離は約14Km）方向
撮 影 ： 柴田 進
撮影日時 ： 6月25日（木）午後1時～午後4時30頃まで
機 材 ： カメラ、300mmズーム+テレプラス1.5倍
（画像の説明）
■高島岬とトド岩の『高島おばけ』—高島おばけ6.25A.jpg（約630Kb）
◆上段：16時17分。引き上げる直前に撮った、ほぼ実景（通常の見え方）の画像です。
◆中段：14時43分。水族館下にある食堂などの建物がぼやっと縦に伸びあがっていますが、ここの注目点は、海面のゆがみでしょう。おそらく暖かい空気層と冷たい空気層の境目ではないかと思われます。これが、画像の左から右へと移動しながら、背後に見える建物や地形を変化させていたように思います。
◆下段：14時44分。1分も経たないうちに、水族館下の建物の大きさが元に戻り、その一方、高島岬先端に見える、トド岩（22m）は倍ぐらいの高さまで伸びているのが見えます。
■高島漁港の『高島おばけ』—高島おばけ6.25B.jpg（約265Kb）
コントラストを調整していますが、モヤが強く、高島漁港やその町であることがわかりづらいかもしれませんのでご了承ください。
今回、5～10分程度と短い時間ではありましたが、高島漁港やその町が蜃気楼化されたの
を確認しました。『高島おばけ』の名前の由来となった地名の、まさにその場所が、蜃気楼化され、画像として捕らえたのは初めてのことと思います。
◆上段：15時17分頃。ほぼ実景（通常の見え方）です。左端には、日本製粉の工場が見えます。その隣に白い点のように見えるのが、灯台市場の塔の部分です。その隣に一直線上に見えるのが、現在ほとんど使われていない平屋倉庫と思われます。（確か、使われていない魚網などが放置されていた場所かと思います）
◆下段：13時27分。左端の日本製粉の工場の高さに近いぐらいまで、灯台市場やその隣の平屋倉庫の屋根が 伸びあがっています。この近くを通る小型の船やヨットの帆も伸びあがっているように見えました。（灯台市場の塔の隣に見える白っぽい画像がそれではないかと思います）
今回は、短時間に終わった『高島おばけ』でした。しかし、自分にとって、毎回、新たな発見があります。画像を見てお分かりのように、ものの数十秒で変化する様はまさに、お化けという名にふさわしいものだと感心します。
まだ『高島おばけ』を見たことのない方、ぜひ一度、ご自分の目で、本物を見ていただきたいと思います。今年も、そろそろ高島おばけ（蜃気楼）のシーズンは、終わりとなります。でも、もう少しの期間、チャンスがある可能性があります。ぜひ小樽周辺の海岸沿いへ双眼鏡をお持ちになって、お出かけください。『おばけ』と遭遇できるかもしれませんから。
以上
市総合博物館の大鐘卓哉学芸員は、｢蜃気楼は、7月いっぱいは見れるかもしれないが、小規模で一般の人では中々見つけることが出来ないと思う。柴田さんが観測した25日(木)の蜃気楼は中規模クラスで、そろそろ終わりの時期になっているので、これが最後の中規模クラスの蜃気楼かもしれない｣(市総合博物館・大鐘卓哉学芸員)と話している。
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