大規模な”高島おばけ” 蜃気楼でトド岩が絶壁に


takasimaobake5-21.jpg 市内祝津の高島岬やトド岩が大きく変貌する”高島おばけ”現象が、5月21日(木)に、銭函海岸から観測された。
 21日(木)に観測された”高島おばけ”は、今季観測された最大規模の蜃気楼で、高島岬やトド岩、祝津周辺の建物、日和山灯台などが大きく姿を変えた幻の姿を見せた。
 市内では、4月12日(日)から蜃気楼が観測されはじめたが、4月中に発生したものは、いずれも小規模だった。5月4日(月)には、一般の人の目でも確認出来る中規模のものが観測され、21日(木)は、それよりもさらにレベルが上の大規模な蜃気楼が発生した。
 今回は、銭函海岸から見た高島岬方向が蜃気楼となった。「水族館下の建物がまるでビルのように伸び上がり、岬の右側に見えるはずのトド岩は絶壁のように激変した」。

 ”高島おばけ”は、北海道で14ヶ所、本州で7ヵ所で観測される珍しい上位蜃気楼。上方に反転像が見え、限られた地域で年に数回しか観測されない珍しいもの。明治時代の書物(三航蝦夷日誌)に”高島おばけ”と記されており、この名が使われている。
 「小樽の蜃気楼は、石狩平野の辺りから流れる暖かい南の風と石狩湾の冷たい北風が重なり合って発生する」(市総合博物館・大鐘卓哉学芸員)。
 蜃気楼の観測に取り組む札幌在住のシステムエンジニア・柴田進さん(52)は、この21日(木)の大規模な蜃気楼の撮影に成功し、本社に写真とともに当日の状況を報告してくれた。

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 高島おばけ(蜃気楼)の撮影記録
 撮影場所:銭函海岸から高島岬方向(北西方向)。距離は約16Km。
 撮影者:柴田 進
 撮影日時:5月21日(木)午後12:30~午後5時過ぎまで
 機材:カメラ、300mmズーム+テレプラス1.5倍
 ◆一番上:当日14:12分頃。ほぼ実景(通常の見え方)に近い姿です。
 ◆二段目:12時44分。
中央左の建物(水族館下にある食堂などの建物)がまるでビルのように伸びあがっています。右側に見えるトド岩は、島の姿を表わしていません。それほど変化して、まるで絶
壁のように激変しています。その右側には、水平線の反転像が見えるようです。こんな
 水平線の反転像が伴うトド岩の姿を見たのは、初めてです。
 ◆三段目:13時05分。
建物が元の状態に戻っているようです。トド岩(22m)の頂上の上に反転像ができつつあ
ります。高島岬の稜線の形がやや縦方向に伸びてきたようです。
 ◆四段目:13時06分。
高島岬の稜線が縦に伸びているのと同時に、トド岩がまるで米国のグランドキャニオンのような形になっているからおもしろい。
 このように短時間で『高島おばけ』は激変します。ですから、何度見ても飽きがこないのです。この現象を多くの方に見てほしいものです。

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 市総合博物館・大鐘学芸員は、「石狩湾に発生する上位蜃気楼は、例年10回程度観測されますが、大規模なのは年に1回程度です。今回発生した蜃気楼は、4日に発生したものよりも大規模なものとなりました。小樽は25℃くらいでしたが、手稲の気温は29℃を超えるくらいで、この暖かい風が石狩湾に吹いたので蜃気楼が発生したと考えてます」と話している。
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