5年目のイトウの人工授精 「平野井養魚場」

 「平野井いとう養魚場」(桜5)で、5月15日(金)10:00から、絶滅危惧種に登録されている幻の魚”イトウ”の人工授精が行われた。
同養魚場の平野井篤さん(73)は、約20年前からイトウの研究を始め、2005(平成17)年から人工授精に取り組んだ。初年は、4,000粒の卵を採卵し、うち3,000粒がふ化する大成功を収めた。
翌年の2006(平成18)年は、海洋少年団の子供たちに、採卵と授精の体験をさせた。約3,000粒の卵を採卵したが、1尾だけふ化したものの残念ながらそれも死んでしまった。関連記事
2007(平成19)年は、人工授精のほか、人工池で自然産卵・受精するという珍しい現象が起きた。なんと500尾のふ化にも成功した。この後、人工授精した稚魚と自然受精した稚魚は元気に成長し、2008(平成20)年6月に石狩川に放流した。関連記事1 関連記事2
2008(平成20)年は、イトウの里親を経験した潮見台小学校の子供たちが、人工授精に挑戦。1,000粒採卵したち100粒がふ化し、現在、60尾が生き残り、人工池の中で元気に泳いでいる。関連記事
イトウの人工授精は、オスの精子が少ないことから、難易度が高いことで知られている。しかし、平野井さんは、これを過去3回も成功させている。このため、5回目となった今年の人工授精には、石狩川イトウの会の会員が参加した。

 会員たちは、人工池の中からメスとオスを3尾ずつタモですくい、麻酔液の中へ入れた。最初は、バシャバシャと水をはね上げ暴れたが、次第におとなしくなった。メスを麻酔液から1尾ずつ出して板に乗せ、指で腹を力強く押し、約800粒の卵を出した。
その後、オスの腹を押して精子を出そうとしたが、中々出てこなかった。3尾目でようやく精子が2~3滴出た。「やっと出た」、「すごいすごい、頑張れ」と声が上がった。
均等に精子がつくように卵をハケでかき混ぜて、ろ過したきれいな清水をかけて授精させた。すでに卵が死んでいるものもあり、授精したのは1,000粒のうちごくわずかで、「100粒がふ化すれば良い方だ」としている。
この人工授精が成功すれば1ヵ月後には、卵がふ化し、イトウの稚魚が誕生する。また、今年も、人工池の中で約100粒が自然産卵しており、平野井さんは、この卵のふ化にも期待を寄せている。
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