小樽の老舗「丸文書店」が廃業 市内商店街に波紋


marubun1.JPG 小樽の中心商店街・サンモール一番街にある老舗書店「有限会社丸文書店」(稲穂1・成瀬櫻男代表取締役)が、5月8日(金)に突然閉店した。この老舗書店の廃業に、市内の商店街には、「あの老舗の書店が」、「客の分散化の影響か」 と波紋が広がった。
 「丸文書店」は、1894(明治27)年に住ノ江町で開業し呉服・雑貨のほか本と文具を売った「近江堂」に勤めていた成瀬為次氏が、のれん分けを受け、1926(大正15)年に開店した創業83年の小樽の老舗書店。
 現在の成瀬櫻男代表取締役は、小樽の書店組合に加盟する9店舗を束ねる理事長で、サンモール一番街の副理事長も務めている。
 近年では、大型書店の進出やコンビニでの書籍販売、インターネット通販、丸井今井小樽店の撤退、グランドホテルの閉館などで客足が落ち、売り上げが大きく減少し、突然の廃業に追い込まれた。
 8日(金)午前、同書店入口には、「有限会社丸文書店は、都合により閉店することになりました」とのお知らせが張られ、これを見る市民や商店主の人だかりが出来ていた。「確かに客が減っていたけど、まさか、こんなに突然の閉店になるなんて」、「明日は我が身。商店街に人が来ないんだから、他の店も危ないよ」 と、ため息が漏れていた。
 同業者の間でも、「老舗の丸文が閉店するだなんて情けないし、悔しい」、「書店業界ではリーダー的存在で、みんな丸文書店に追いつきたいと頑張ってきたのに」と肩を落とす人が多かった。
 商店街の店主は、「市の無責任な政策によって、客足が分散してしまった。中心商店街も築港も両方良くなると思っていたのだったらおかしいとしか言えない」、「丸井撤退、グランドホテルの閉館で、人の流れは益々なくなってきている。市長には、一日も早く公約を達成して欲しいとしか言えない。民間のやりとりだからと投げやりなことを言ってる場合じゃない」 と、無責任な行政の対応を怒っていた。
 閉店後の丸文書店を管理する札幌の伊藤信賢弁護士によると、「同店の年間の売り上げは2億円弱に減少していた。負債総額は2億5,000万円に及び、近日中に、札幌地裁小樽支部に自己破産の申し立てを行う」 としている。
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文学散歩 第18話 小樽のまちの本屋さん