オジロワシやウトウの大群 「冬の海鳥観察会」

umidori.jpg  寒い冬の季節しか見ることの出来ない渡り鳥を観察する「冬の海鳥観察会」が、2月22日(日)9:30~12:00、祝津漁港や高島岬で行われた。

この観察会は、市総合博物館(土屋周三館長)と日本野鳥の会小樽支部(梅木賢俊支部長)の主催。
大粒の雪が降りバードウォッチングには生憎の天候となったが、一般市民や野鳥の会の会員など約40人が参加した。自前の双眼鏡を手に、野鳥の会の会員たちの解説とともに祝津地区に群れる冬鳥の観察を楽しんだ。
祝津漁港では、ウミネコの大群とシノリガモを発見。ウミネコは、チドリ目カモメ科の海鳥。日本近海で繁殖・生息することから、国内では一般的な中型のカモメ。鳴き声が猫に似ていることからウミネコと呼ばれている。
シノリガモは、カモ目カモ科。オスの羽の色がピエロの顔のようにペイントされていることから、学名の属名・種名はピエロとついた。カムチャツカ半島などで繁殖し、冬季は南下し、北海道や東北の日本海沿岸にやってくる。全長は約43cm。この日発見したシノリガモは、オスとメスのつがいで、参加者たちから、「かわいい」、「どんどんこっちに近づいてくる」などと歓声が上がった。
高島岬では、北の繁殖地に帰るウトウの大群を発見した。ウトウは、チドリ目・ウミスズメ科で、体長はハトよりも大きい40cm。全体が灰黒色の羽毛に覆われているが、腹は白く、くちばしはだいだい色。サハリンなど北方で繁殖する。
梅木支部長は、「今日はこれがメインで、1km以上先で少し遠いけれど、この時期にしか見ることが出来ない。この丘から見れることがすごい」と参加者たちに解説していた。
また、天然記念物のオジロワシが、高島岬上空を飛ぶ姿も見られた。オジロワシは、体長約80cmで、翼を広げると2mにも達する大型のタカ目タカ科に属する鳥。日本列島では個体数が少なく、冬に北海道を中心に渡来するが、その数は数100羽程度という。オジロワシの姿を発見すると、参加者たちは双眼鏡を覗き込んで、その大きな姿に見入っていた。
築港在住の渋谷さとさん(75)は、「築港で海を見ていたら、ウミネコが集団で空を飛んでいるのを見て感激して、鳥を勉強したいと思って、今回の観察会に参加しました。一緒に観察することですごく勉強になったので、早速、野鳥の会に入ろうと思います」と話していた。
博物館・山本亜生学芸員は、「冬の小樽の海岸では、越冬のため北の国から飛来する様々な鳥たちを観察することができます。天然記念物にもなっているオジロワシやオオワシ、翼を使って水中を飛ぶように泳ぐウミスズメのなかま、そして何百羽もの海ガモたちの群れ。こうした珍しい鳥たちを、街からすぐの場所で観察できることは、小樽のまちの魅力の一つです」という。
雪の降る中、市内の漁港や岬から、冬しか見られぬ珍しい渡り鳥を観察出来るのも、小樽の自然の豊かさを現している。