「役人がダメにした地域医療」 夕張の村上医師が講演 (2009/02/21)

tiikiiryo.JPG 「地域医療を考えるシンポジウム」が、2月21日(土)、小樽市民センター・マリンホール(色内2)で開催された。


 地域医療を守る地方議員連盟(広瀬寛人代表・富良野市議)が主催し、夕張希望の杜・代表の村上智彦医師などをゲストに迎えて、地域医療の講演やフリートークが行われた。


 この日は、前日からの荒天の影響と交通機関の乱れで、会場には空席が目立ったが約100人の聴衆が集まった。村上医師の到着も遅れ、第一部の講演を後回しにして、第二部のフリートークから行われた。


 古田精一教授(北海道薬科大)・兼古稔副院長(上富良野町立病院)・金子益三(地域医療を守る地方議員連盟・前会長・前上富良野町議)の3氏がステージに上がり、地域医療の崩壊の原因がどこにあるのかを探った。


 最初に、司会者が、「今回の会合は、医療危機の犯人探しではなく、その原因を探るものです」と挨拶。


tiikiiryo-kaneko.JPG 「財政難から地域医療行政が、ガタガタになっている。お金がかかるのに、それを担う医療体制がない。日本全国の地域医療を考えなければならないので、色々な人とネットワークを作り、学習し提言をしている。小樽にはっきり言えるのは、域外受診が多い場合はその医療は滅んでしまう。人口から言っても、小樽に総合病院は必要だとは思うが、民間病院が機能しており、これ以上総合病院が必要なのか、さすがにちょっと多い。公的病院と機能分担の話し合いをしなければならない。市立病院のベッド回転率が民間では考えられない率になっているのに、2つの市立病院を統合するのに、本当に必要な地域医療はなんなのかを考えるべき」(兼古副院長)


tiikiiryo-huruta.JPG 「昨年4月から小樽に来た。ネットで情報を見ると、小樽の町も大変だと思う。地域医療システムをどう構築していくかを考える必要がある。小樽の人口構成をみると、イビツなキノコの傘のようになっているので、高齢化率が速い。どんな医療が必要なのか考えるべきだ。高齢者が多くなるのだから、最先端高度医療でない医療をめざすべき。住民もその辺を小樽がどうしていくのか考えるべきだ。


 医療スタッフは地域の財産だが、軽症の患者がコンビニ感覚で病院を利用したら、重篤な患者も助けられない。どんな医療が必要か、住民が考えなきゃいけない。小樽は、札幌のベッドタウンとしての機能がある。坂があっても、高齢者が住みやすい街になるようにしなければいけない。小樽市のベッド数を足すと、平均以上に多い。民間では考えられない。累積赤字も40億円あり、破綻した夕張は31億円だった。市民が情報を全部知った上で判断した方が良い。大事なのは、医療を建て直し、子育てがしやすい、高齢者も住みやすい街にすることで、そうなれば人口が増え、小樽はまだ元気になれる」(古田教授)


tiikiiryo-kanekogi.JPG 「市立病院の経営は、住民の税金が入るので大事だ。小樽は、市の財政が逼迫している。市立病院も厳しい状況にある。数字を見ると、経理の内容は、驚くべきほど厳しい。小樽の住民に、本当に必要な医療として何を残していくのか。組長、議員だけでなく住民のモラルも関与していくのではないか。市立病院の今後のあり方は、この地域に住む住民の問題になっている。住民の健康意識を高め、市の財政を監視していかなければならない」(金子氏)と呼びかけた。


 この後、村上医師の講演「予防医療から自治体を考える」が行われた。


DSC08589.JPG 「私は、道薬科大卒で、おふくろは小樽の人間で縁がある。学生の時よく遊びにきた。喫茶店"光"に、おふくろが高校の時に行ったが、私もそこに行くと当時のままであり、歴史を感じた。今回、予防医療と地域医療について話してほしいとのこと。自分が関わった夕張の例が参考になればと思う。


 夕張は、破綻してかわいそうだとのマスコミ報道があるが、それはウソで、全然かわいそうではない。市が破綻しても、住民は死ぬというものではない。


 医療崩壊した原因の一番は、役場です。この人たちは、住民のためというより、自分たちのために仕事をしており、住民は、その次です。これは小樽市の話ではなく(?)、夕張市の話です。私は、公設民営で借金して病院を運営している。役人は、病院の運営には素人(シロウト)だから、病院経営は出来ない人たちだ。


 夕張市総合病院は診療所になったが、総合病院の時は、医者が2人で、24時間体制で救急と外来をやっていた。今は、診療所になったが、医者が5人いて、前よりはるかに機能は上だ。この医者不足の時代に、2人の医師を募集したら13人の希望者が集まって、11人も断ってしまった。


 公立病院の問題は、無策、無責任の公務員体質が挙げられ、役場は市立病院が潰れても何もしなかった。住民は、自己中心的で勝手な要求をし、医者に過剰な期待をする。


 医者の生きがいは、自分が診た患者がその街で元気に過ごしていること。元気良く働く姿を見ること。薬だけ出せとか、適当に中心部の病院に通っていて、困った時に夕張の病院に来るとか。こんな患者のところには、医者は来ない。決して豪華な病院とか設備が良いとかで、長生きはしない。東京が実例で示している。北海道は環境が良いので、住民の健康意識を高め検診を受ければ、ガンでの死亡率が低い長野県になれる。


 夕張で2年働いて、福祉が悪いことが分かった。高齢者は、入院させたら弱る。認知症になる。寝たきりになる。これからは医者も、専門医から何でも診れる総合医になるべき。医療も、戦う医療から支える医療になることが良い。


 日本は世界一高い医療技術を持っている。95歳になって、クダやチューブを差され、蘇生術をほどこされ、これ以上長生きしてどうなるか。人間には、寿命というものがある。人間の死亡率は、100%ですよ。食事・運動などで、ちゃんと生活習慣を整えるように住民が健康意識しないと、地域医療も良くはならない。夕張のように高度先端医療がない小さな診療所でもやっていける」 と熱く語った。


 医療法人財団 夕張希望の杜


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